2009 Fiscal Year Annual Research Report
ゾルゲル法を用いて高分子状に成長させた有機EL用無機封止膜に関する研究
Project/Area Number |
21750185
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
福田 武司 Saitama University, 理工学研究科, 助教 (40509121)
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Keywords | 有機EL / 封止 / ゾル-ゲル法 / ガラス / 光劣化特性 / 酸素透過率 |
Research Abstract |
有機ELに代表される有機デバイスでは大気中の水分や酸素によって素子特性が急速に劣化してしまう大きな技術的な課題がある。この課題に対して、本研究ではゾル-ゲル法を利用した塗布プロセスでの封止膜の形成技術に関して検討を進めている。特に有機材料は100度程度の低温での熱処理にしか耐えることが出来ないので、このような低温プロセスで高い酸素や水分の遮断性能を有する封止膜をゾル-ゲル法で形成する必要がある。一般的には低温でのゾル-ゲルプロセスでは封止膜が緻密にならず、封止性能が有機デバイスの要求レベルに達しない。そこで、本研究では高分子状に成長させたガラスネットワークを利用した高性能な封止膜の実現を目的としている。本年度はEu錯体の周囲を本手法で封止したサンプルに紫外光を連続照射したときの発光強度の経時変化を測定することで封止膜の性能を評価した。ゾル-ゲルプロセスの出発溶液として用いられるシランアルコキシド、有機溶媒、水、触媒などの組成比や撹絆条件、熱処理温度などを変化させて封止膜で被覆したEu錯体を作製した。Eu錯体は酸素や水分の存在下で紫外線が照射すると有機配位子が構造変化を起こして、発光強度が低下する。しかし、本手法で封止を行ったサンプルでは発光強度の経時変化が抑制された。初期発光強度に対する60分後の相対発光強度は未封止のもので0.5程度であるのに対して、ゾル-ゲルプロセスの条件を最適化することで0.9以上の高い発光を示した。また、シランアルコキシドにDimethyldiethylsilaneを添加することで高分子状にガラスネットワークが成長して数μm程度の厚膜化にも成功した。以上のことから、本年度の研究成果として本手法が有機デバイスの封止に適していることが分かり、次年度は更なる封止性能の向上と素子化へつなげていく。
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