2010 Fiscal Year Annual Research Report
ゾルゲル法を用いて高分子状に成長させた有機EL用無機封止膜に関する研究
Project/Area Number |
21750185
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
福田 武司 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (40509121)
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Keywords | 有機EL / ゾル-ゲル / 封止 / 酸化チタン / シリカガラス |
Research Abstract |
有機ELは優れた発光特性を有しているが、大気中の水分や酸素によって急速に劣化が進んでしまうという問題がある。そこで、本研究では将来的な低コスト化が期待される塗布法の一種であるゾル-ゲル法を利用した有機デバイス用の封止技術を検討した。具体的な封止膜としては酸化チタンとシリカガラスを評価した。酸化チタン系の封止膜では非イオン性触媒や配位子の添加などを検討して、可視波長域での透明な封止膜の形成は成功した。しかし、酸化チタン系の封止膜はゾル-ゲル出発溶液の反応性が高く、塗布直後に有機デバイスを急速に劣化させてしまうという問題が発覚した。そのため、シリカガラスを中心に検討を行い、ジエトキシジメチルシランを添加材として用いることで優れた封止性能を有する透明なシリカガラス薄膜の形成に成功した。また、更なる封止性能を向上させるために、密閉容器中で熱処理を行うソルボサーマル法を新たに検討した。その結果、通常のゾル-ゲル法では実現が困難な高い封止性能を有するシリカ薄膜の形成に成功した。また、シリコンアルコキシド、有機溶媒、触媒などを最適化することでシリカガラス薄膜の封止性能がさらに向上した。以上のことから、有機デバイスの実用化に求められる優れた封止性能を有するシリカガラス薄膜の形成には、高圧下でゾル-ゲル出発溶液を熱処理することが重要であることが分かった。成果の一部は論文や国際会議で発表しており、今後はこの封止膜の作製条件を活かして全塗布型有機デバイスについて検討を行う。
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Research Products
(5 results)