2010 Fiscal Year Annual Research Report
新しい電気磁気デバイスのための強相関ナノ界面磁性相の構築と制御
Project/Area Number |
21750198
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
山田 浩之 独立行政法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス研究部門, 研究員 (00415762)
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Keywords | 強相関エレクトロニクス / 人工超格子 / ヘテロ界面 / 電気磁気デバイス / ナノ材料 / 巨大磁気抵抗 / 酸化物エレクトロニクス / 電界効果 |
Research Abstract |
昨年度は、LaMnO_3(LMO)-SrMnO_3(SMO)超格子が格子整合基板上に精密に作製した場合、層厚に鋭敏に依存して非常に多彩な物性(電子相)を示し、かつ相境界では巨大磁気抵抗(CMR)を示すことを発見した。本年度はそのメカニズムを解明するべく、バルクでは実現しえない超巨大MRを示したLMO(2層=8A)-SMO層(2層)[L2S2]超格子を中心に詳細に評価した。STEM-EELSから、CMRを示す試料は非常に界面平坦性が良く、かつ酸素のK吸収端が明瞭に観測され、一層毎に変化することが分かった。放射光X線散乱(KEK)でも電子状態(Mn-K吸収端)は均一でないことが示唆された。磁性を解明するため、中性子散乱も実施した。但し、薄膜を用いた実験は国内では皆無のため、まず実現可能性を検証した。即ち、典型的G型反強磁性体であるSMO単一成分薄膜を作製し、原研三号炉TOPANにおいて中性子回折を測定した結果、面積2cm^2,膜厚80nm程度で、十分な強度の磁気回折を観測した。これを踏まえL2S2超格子についても、必要量を再現性良く作製して中性子散乱を実施した結果、積層方向に2倍超周期の反強磁性的な磁気回折を観測した。以上より、強相関界面では、格子・電子・磁性状態の結合が強いため、一原子層で急峻に状態が変化し、バルク以上に多彩な状態が競合し得ると考えられる。これは化学ポテンシャルの違いによる電荷移動が重要な通常の半導体界面とは全く異なった強相関界面特有の現象で、従来の常識を覆す重要なデバイス設計指針を与えている。また関連物質のCaMnO_3薄膜が、組成および格子歪の精密制御により、わずか2%のセリウム置換(化学ドープ)により絶縁体から金属へ変化すること、またイオン液体をゲートに用いたFET素子(電界誘起ドープ)においても巨大抵抗変化することを見出した(特許出願)。
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