2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21760001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
海住 英生 Hokkaido University, 電子科学研究所, 助教 (70396323)
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Keywords | スピントロニクス / 磁気抵抗効果 / ナノ接合 / 有機分子膜 / 強磁性体 / 表面状態 / 磁化状態 / バリスティック伝導 |
Research Abstract |
高度情報化社会の発展に伴い、ハードディスク装置(HDD)の更なる高記録密度化が要求されている。この高記録密度化を実現するため、現在、高磁気抵抗(MR)比、及び、低面積抵抗(RA)を兼ね備えた磁気抵抗効果素子の開発が急務となっている。そこで、本研究課題では、それらを兼ね備えた新たな磁気抵抗効果素子として、強磁性層/有機分子/強磁性層量子十字素子を提案し、全研究期間を通じて、その電気伝導特性、並びに、磁気抵抗効果を調べることを目的とする。 本研究目標を達成するため、本年度は量子十字素子の強磁性層に用いる材料として、Polyethylene Naphthalate(PEN)有機膜上のNi磁性薄膜、及び、Ni_<22>Fe_<78>磁性薄膜について検討した。それぞれの磁性薄膜の膜厚は10-30nmとした。まず初めに原子間力顕微鏡(AFM)を用いて表面状態を調べた。その結果、Ni/PENでは、観察スケールLが膜厚dと等しいとき、表面粗さR_a=0.34nmとなり原子レベルで平坦になることがわかった。また、Ni_<22>Fe_<78>/PENでも、観察スケールLが膜厚dと等しいとき、表面粗さR_a=0.25nmとなり原子レベルでの平坦性が実現した。このように表面粗さの観点からはNi磁性薄膜、及び、Ni_<22>Fe_<78>磁性薄膜が量子十字素子に適していることがわかった。次に、磁化特性、並びに、磁気抵抗効果について調べた。その結果、Ni/PENでは、角型比が0.24と小さく、異方性磁気抵抗効果を示さないことがわかった。これは一軸磁気異方性の付与が完全ではないことを示す。それに対し、Ni_<22>Fe_<78>/PENでは、角型比が0.86と大きく、異方性磁気抵抗効果を示すことがわかった。これは一軸磁気異方性が付与されていることを示す。以上より、表面粗さ、並びに、磁気特性の観点から、Ni_<22>Fe_<78>/PENは量子十字素子に用いる強磁性体材料として極めて有効であるということがわかった。
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Research Products
(13 results)