2009 Fiscal Year Annual Research Report
有機半導体材料におけるオーミック接合の形成とキャリア輸送機構の解明
Project/Area Number |
21760005
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
松島 敏則 Japan Advanced Institute of Science and Technology, マテリアルサイエンス研究科, 助教 (40521985)
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Keywords | 有機EL素子 / 電気物性 / 電荷移動 / デバイス設計 / 酸化モリブデン / 空間電荷制限電流 / 有機半導体 / 電荷生成 |
Research Abstract |
酸化インジウムスズ陽極と様々なイオン化ポテンシャルを持つ有機層の界面に三酸化モリブデンを挿入した正孔のみが通電可能な単層素子を作製し、三酸化モリブデンの厚みおよび有機層材料を変化させたときの電流密度-電圧特性を比較した。有機層のイオン化ポテンシャルが三酸化モリブデンの仕事関数より小さいときに、有機層から三酸化モリブデンへの電荷移動が生じ、有機層の空間電荷制限電流が観測されることを見出した。また、正孔が注入されないフラーレンとトリフェニルアミンの2層型素子を作製した。フラーレンとトリフェニルアミンの界面に三酸化モリブデンを挿入することによって素子の電流密度が大幅に増加することがわかった。有機層から三酸化モリブデンへの電荷移動により生成された電子と正孔のペアが電界により分離することで有機層中に正孔が供給されるために(界面電荷生成)、酸化インジウムスズ陽極層と有機層の界面の正孔注入障壁の影響が極限まで低下し、有機層の空間電荷制限電流が観測されたと考えられる。通常の電荷注入ではなくて界面電荷生成という新しい動作メカニズムを提案した。得られた単層素子の電流密度-電圧特性を空間電荷制限電流の式を用いて解析することから有機層のキャリア移動度およびキャリア移動度の電界依存性の項を見積もることに成功した。三酸化モリブデンに加えて二酸化モリブデンを用いたときにも同様な界面電荷生成の効果が得られ、三酸化モリブデンおよび二酸化モリブデンを有機EL素子に用いることで素子の駆動電圧および耐久性が大幅に改善することがわかった。本研究の成果は有機半導体素子の高性能化や有機半導体薄膜のキャリア輸送機構を解明するために有意義であると考えられる。
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Research Products
(29 results)