2009 Fiscal Year Annual Research Report
ペロブスカイト型結晶中の原子の非調和熱振動を可視化する技術の開発
Project/Area Number |
21760010
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
森吉 千佳子 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 准教授 (00325143)
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Keywords | 誘電体物性 / 物性実験 / 非調和性 / 放射性 / 可視化 |
Research Abstract |
本年度は,結晶中の原子の非調和熱振動解析のための環境を調えるため,以下に示すような試料作成システムの構築と予備的な放射光単結晶回折実験を行った. (1) 単結晶回折用試料成形装置の作成 非調和熱振動解析のための回折データの収集には単結晶試料の調整に工夫が必要である.(1)質が高い,(2)小さい(数10μm),(3)球形,という条件を備えた試料を作成するため,高倍率実体顕微鏡を購入し,直径数10μmの球形試料を作成するシステムを構築した.これにより,ケイ素やチタン酸バリウムの球形単結晶試料を確実に作成できるようになった. (2) 高エネルギー放射光単結晶回折実験 上記(1)の方法で強誘電体チタン酸バリウム(強誘電相転移温度400K)の単結晶を直径約100μmの球形に成形した.SPring-8 BL02B1設置の大型湾曲IPカメラを用い,35keV(波長0.35A)という高エネルギー放射光を用いて,強誘電相転移温度の上下数点の温度で単結晶回折実験を行った.この実験により,空間分解能0.25Aという精密なデータを測定することに成功した.これは非調和熱振動の解析に十分な高分解能のデータである.通常の調和熱振動解析の結果,チタン酸バリウムの強誘電相転移を特徴づけるる原子の熱的挙動が明らかになった.さらに,非調和熱振動解析による原子の熱振動の精密解析が進行中である.以上の実験や解析に関する成果は日本物理学会等で発表された.
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Research Products
(4 results)