2009 Fiscal Year Annual Research Report
酸化物への不純物添加による物性の制御と材料設計への指針
Project/Area Number |
21760030
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
梅澤 直人 National Institute for Materials Science, 光触媒材料センター, 主任研究員 (20455273)
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Keywords | 欠陥密度 / 不純物ドープ / high-k / 酸化物 / 界面制御 / 多価元素 / 相関汎関数 / 第一原理計算 |
Research Abstract |
1. 酸化膜/酸化膜のスタック構造に、ドーパント材料を積載することで酸素の拡散を意図的に誘起し、界面構造を改変できることを理論的に予測しました。実際、HfO_2/SiO_2/SiスタックにTa_2O_<5-x>を積載し、TaをHfO_2中に意図的にドープすることで、SiO_2層の酸素がHfO_2に吸収されて膜厚が薄くなることが実験的に確かめられました。本発明によって、半導体デバイスや酸化物エレクトロニクスに不可欠な、酸化物/半導体界面の構造を容易に制御することが可能となるため、応用上重要な成果であると考えます。 2. 半導体デバイスの誘電膜として使われるHfO_2は欠陥密度が大きく、信頼性の劣化が深刻な問題となっております。本研究では、多価元素酸化物をHfO_2に積載することで欠陥密度を低減する方法について検討しました。多価元素酸化物中には化学量論比の異なる2つの相が共存しているために、熱平衡状態においては固有の酸素化学ポテンシャルを定義することができます。この事を利用し、適切な多価元素酸化物をHfO_2に積載することで、欠陥密度を最小に留めることができることを理論的に予測しました。この手法は、あらゆる酸化物に応用が可能であるため、欠陥密度を制御するための新しい手法として期待される。 3. 密度汎関数法に基づく第一原理計算では、固体のバンドギャプが過小評価されるために、欠陥のエネルギー準位を見積もる事が難しくなります。そこで、酸化物中の欠陥準位を高精度で見積もる事を可能とする計算手法の開発に取り組みました。電子相関を担う関数で電子系のハミルトニアンを相似変換することによって、新しい相関汎関数を作成しその性能を調べました。本成果を発展させる事で、未知の固体の欠陥特性を計算科学的に予測する事が可能となります。
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