2010 Fiscal Year Annual Research Report
酸化物への不純物添加による物性の制御と材料設計への指針
Project/Area Number |
21760030
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
梅澤 直人 独立行政法人物質・材料研究機構, 光触媒材料センター, 主任研究員 (20455273)
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Keywords | 格子欠陥 / 不純物ドープ / 酸化物 / 界面制御 / 電子相関 / 第一原理計算 |
Research Abstract |
1.最近発見されたリン酸銀(Ag_3PO_4)の高い光触媒活性の起源を理論的に解き明かした。第一原理計算の結果から、リン酸銀の伝導帯は底の分散が大きく、電子移動に有利な形をしていることが判明した。また、波動関数の等高面から、この状態が遍歴的に広がっていることが明らかとなった。これは、電子がどの方向に対しても移動しやすいことを意味しており、高い光触媒効率に寄与していると考えられる。他の銀系光触媒と比べて電子の有効質量が小さく等方的であることが、リン酸銀の高い光触媒活性の起源であると結論づけた。 2.CdSナノ微粒子間の表面接触を増やすことで可視光吸収が増幅するという実験結果に理論的解釈を与えた。表面接触によってCd-Cd結合が形成され、その結合-反結合軌道がバンドギャップ中に現れるために、ギャップが実効的に狭くなり、可視光吸収が増幅するというメカニズムを提案しました。ナノ微粒子間の表面接触をモデル化し、電子状態計算を実行したのは世界初。 3.SiはHfO_2よりもLa 2O_3と固溶しやすく、HfO_2/Si界面ではSiO_2が形成されるが、La_2O_3/Si界面ではシリケートが形成される事が実験的に知られていた。しかしその理由は解明されておらず、トランジスタゲート絶縁膜開発の障害となっていた。そこで本研究では、おのおのの酸化物中でのSiの安定性を理論的に調べた。La_2O_3中ではSiは酸素4配位の4面体構造を形成して安定化するが、HfO_2中では6配位となるために不安定化することがわかった。また、La_2O_3中でSiは正に帯電するために酸素を引き込みやすくなることが判明した。 4.Transcorrelated法と呼ばれる電子状態計算手法と密度汎関数法を組み合わせる事によって、新しい相関汎関数の作成を試みた。
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