Research Abstract |
CdTe結晶表面に真空中で熱処理を行い,その表面状態を調べた.形成される酸化層がCd面,Te面によっ厚さが異なることを明らかにした.また,Al,Ti及びNiショットキー電極をCdTe結晶表面上に形成し,裏面にはPtオーミック電極を無電解メッキにより作製した.各素子の電流-電圧特性より,現在実用化されているIn/CdTe/Pt素子と同等以上の特性を示し,良好な電気的特性を持つ素子作成に成功した.さらに,リチャードソンプロットからCdTe結晶の各面上に作製した電極それぞれについて,そのショットキー障壁高さを算出したところ,AlとNi電極では,理論値からはずれていたが,Ni電極ではほぼ理論値と同程度の値が得られた.電極の違いによる障壁高さの理論値との差については現在考察中である. 硫黄処理による特性改善についても研究を行った.硫黄処理と熱処理を組み合わせて,Al/CdTe/Ptショットキーダイオード素子を作製し,放射線を1日間安定的に検出できる素子を実現した.通常,数時間で検出特性が急速に劣化することから,きわめて安定した放射線検出素子の作製に成功している.また,熱処理のみを行った試料でPL測定を行った.その結果,250℃,1時間の熱処理を行った飼料では,Teサイトに入ったClとCd空孔との複合欠陥に基づくピークが増大することを明らかにした.硫黄処理のみおよび硫黄処理と熱処理を組み合わせた試料については現在考察中である. ショットキー電極をピクセル化した時に素子間の絶縁分離を行うために重要となる絶縁保護膜形成技術についても研究を行った.絶縁保護膜としては,非晶質炭素膜を用いた.成膜中の水素ガス導入量を低くすることにより,CdTe表面をあれさせることなく,絶縁保護膜形成に成功している.また,保護絶縁膜として要求される,高抵抗,低誘電率特性について,その膜構造との関係を明らかにした.本研究により,非晶質炭素膜が絶縁保護膜として十分に使用可能であることを明らかにした.
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