2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21760057
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
垣村 尚徳 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 助教 (30508180)
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Keywords | ビンパッキング問題 / 近似アルゴリズム / 点素サイクル / フィードバック点集合 |
Research Abstract |
本研究課題では,数理計画に対する構造解析手法の確立と発展を目的として,主に,ビンパッキング問題に対する構造解析に対する成果を得た.ビンパッキング問題は基本的な組合せ最適化問題のひとつであり,様々な効率的な近似アルゴリズムが提案されている.現在最良の加法的近似比を持つ多項式時間アルゴリズムは,1982年にKarmarkarとKarpによって提案されたものであり,そこでは,ビンパッキング問題を数理計画問題として記述し,その加法的整数ギャップの上界を解析することが重要な役割を占めていた.本研究では,この数理計画問題が持つ組合せ的構造に着目することにより,彼らの解析手法をより一般的な問題(順序交換性を持つ集合被覆問題)に拡張することに成功した.また,順序交換性を持つ集合被覆問題の整数ギャップの下界に関する結果も得られた.その結果,この問題に含まれるビンパッキング問題の様々な変種に対して,その加法的整数ギャップの上下界が解明された. また,組合せ的行列理論を用いた数理計画問題の構造解析に関連するグラフ理論の問題に取り組んだ.具体的には,グラフにおいてサイクルを互いに交わらないように詰め込む問題を扱った.この問題はグラフ理論における基本的な問題であり,その古典的な結果としてErdos-Posa性が成り立つことが知られている.この性質は,サイクルの詰込みとフィードバック点集合という一種の被覆問題とを結びつける重要な結果であり,サイクル詰め込み問題の効率的なアルゴリズムの設計に役立っている.本研究では,サイクル詰め込み問題を一般化し,指定された頂点集合を通るサイクルのみを詰め込む問題に対して,Erdos-Posa性が成り立つことを示した.そしてさらにこの結果を一般化し,長さが偶数のみのサイクルなど,パリティ制約が課された場合に対してもErdos-Posa性が成り立つことを示した.
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Research Products
(7 results)