2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21760059
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 彰洋 Kyoto University, 情報学研究科, 助教 (50335204)
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Keywords | エージェント集団行動 / 外国為替市場 / 情報伝達 / 網羅的分析 / 相関関数 / ゆらぎのスケーリング / 同期 / エントロピー |
Research Abstract |
研究実施計画に基づき(1)並列計算システムの構築、(2)外国為替市場データの網羅的収集、(3)分析ソフトウエアの開発、(4)外国為替市場関係者への対面での聞き取り調査を行った。並列計算システムとして、1TBのファイルサーバを含む、合計24コアクラスタ型並列計算システムの建設を行った。さらに、エージェント間情報伝達構造を計量するための分析方法を(a)相関関数・ゆらぎのスケーリング関係、(b)インパルス的集中行動の市場全体における同調、(c)シェアに対する規格化エントロピーの観点から開発し、それぞれの方法を用いた分析ソフトウエアの実装を行った。更に、外国為替市場の網羅的高解像度データの収集を2009年2月~2010年1月まで継続的に行い、実施期間中に収集した高解像度データに対して外国為替市場状態の連続計測を行った。提案手法を用いた分析の結果以下のことが見出した。(1)世界経済の転換点と考えられる期間において、大きな同調現象が発生している。(2)通貨交換レートの大規模な転換点の前後でシェアの大きな変調と相関構造の大域的な変化が生じている。また、複数の外国為替市場関係者に対面による聞き取り調査を行い、分析結果と外国為替市場関係者の直感的理解との間の関連について調査を行った。その結果、提案手法より得られた結果は外国為替市場参加者の直感的理解と整合的であり、また、市場関係者が市場状態に対して理解を深めるために、分析結果が有用であることが判明した。
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