2009 Fiscal Year Annual Research Report
歳差運動する容器を用いた撹拌翼をもたない混合器の開発
Project/Area Number |
21760130
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
後藤 晋 Kyoto University, 工学研究科, 助教 (40321616)
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Keywords | 乱流 / 混合 / 歳差運動 / 室内実験 / 数値シミュレーション / 攪拌翼 |
Research Abstract |
自転軸がそれとは平行ではない軸のまわりを一定角速度で回転する運動のことを歳差運動とよぶ。本研究では流体を充填した容器を歳差運動させると(たとえ容器内壁面が滑らかであっても)内部に乱れた流れを容易に維持できることに注目し、この運動機構を用いた『撹搾翼をもたない新しいタイプの混合器』の開発を目指している。本年度は球形の容器を用いてパラメタを系統的に変化させた室内実験を行った。具体的には粒子画像流速測定法により、球体の中心を通り自転軸に垂直な面内の速度の時系列を計測し、歳差運動する球体容器内に維持される乱流の統計性質のペラメタ依存性を調べた。その結果、(1)維持される乱流の平均流の構造は歳差の強さ(歳差の角速度の自転角速度に対する比)にのみ依存し、自転角速度の大きさにはほとんど依存しない。(2)自転角速度を固定して歳差強さのみを変化させた場合、乱流の強度は歳差強さが0.05程度(つまり歳差角速度の大きさが自転角速度の5%程度)の場合に最大化される。またこの最適値は自転角速度で定義されるレイノルズ数にはほとんど依らない。(3)このとき(テーラー長で定義される)乱流レイノルズ数は、自転角速度で定義されるレイノルズ数の平方根程度となる。ということが明らかとなった。以上の実験結果により『歳差運動する球体容器を用いた撹搾翼をもたない混合器』の最適パラメタの設定のための指針が具体的に示されたことになる。
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