2010 Fiscal Year Annual Research Report
歳差運動する容器を用いた撹拌翼をもたない混合器の開発
Project/Area Number |
21760130
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
後藤 晋 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (40321616)
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Keywords | 乱流 / 混合 / 撹拌 / 歳差運動 / 室内実験 / 数値シミュレーション / 渦構造 |
Research Abstract |
弱い歳差運動(自転軸が他の軸のまわりを回転する運動)をする容器内には発達した乱流が維持されるという性質に着目して撹拌翼をもたない混合器を提案するにとを目指し、室内実験および数値シミュレーション研究を遂行した。今年度のおもな成果は以下の通りである。まず室内実験ではこの性質の容器形状への依存性を調べた。具体的には、昨年度まで重点的に行ってきた球形容器の実験に加えて、回転楕円体形状の容器の用いた実験を行った。これは、球形容器は歳差運動をしてもその形状が保たれるので壁面の粘性応力のみが流れを駆動し乱流生成装置としては必ずしも最適とは言えない可能性があるためである。そこで球形容器および回転楕円体容器の2種類の容器のそれぞれにおいて、(自転角速度の大きさ、短軸半径および流体の動粘性係数により定義される)レイノルズ数を固定したまま、乱流が維持される最低の歳差の強さ(自転角速度の大きさに対する歳差角速度の大きさ)を評価した。その結果、予想に反して、球形容器の場合の方がより弱い歳差で乱流が維持されるという興味深い結果を得た。しかもより大きなレイノルズ数ほど臨界歳差強さの比も大きいことが明らかとなった。一方で、数値シミュレーションでは歳差運動をする球形容器内の乱流をスペクトル法により高精度よく再現し、その渦構造を調べた。その結果、境界層内には自転軸まわりにほぼ平行に揃った渦構造が観察されるとともに、内部にはリング状の乱流が活発な領域が見出された。今後さらに詳細な検討が必要であるが、これらの秩序構造は歳差運動をする容器内の発達した乱流の維持機構の解明の鍵を握るものと期待される。
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