| Research Abstract |
バイオマスガスの主な成分であるH2,CO,CH4,CO2,N2を任意の割合で混合した燃料を対象に,実験および素反応数値計算によって着火時期,燃焼期間といった燃焼特性を調査した。燃焼期間,熱発生率が最大を示す時期およびノックが生じる最小のIMEPは,燃料中のH2とCO2の比と相関が強く,H2/CO2は,バイオマスガスをHCCIエンジンで利用する際の着火,燃焼の一つの指標として利用できることを明らかにした.また,炭化水素系燃料の場合には圧力履歴と強い相関を示し,反応過程にも関係するイオン電流の計測も同時に行った結果,燃料中にCH4が存在しない場合には,イオン電流を検出するはできないが,CH4が数%でも存在すればイオン電流は検出可能であり,CH4以外の燃料組成が変わっても,イオン電流は熱発生の開始時期およびピーク時期とイオン電流の検出開始時期,ピーク時期は相関が強いことが明らかになった。これは,イオン電流によってエンジン制御に必要な着火時期および燃焼期間のリアルタイムな把握が行える可能性を示唆している。一方,HCCI燃焼時にもエンジン内では濃度や温度は必ずしも均質でなく,反応状態が空間的に異なり,その影響も無視できないと考えられる。そこで,燃料の投入位置を変化させることで温度および濃度の不均質性を変化させた実験を行った。不均質性を強く与えることで,筒内ガス圧力の過剰な上昇および騒音を低減できることが確認された。また,その効果は燃料組成によって異なり,H2とCOの比と不燃成分の割合が高いほど大きいことが明らかになった。これは組成が変化するバイオマスガスを利用するにあたっては重要な知見である。
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