2010 Fiscal Year Annual Research Report
優先度を考慮した将来型配電系統の自律分散型電圧分布制御方式
Project/Area Number |
21760214
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
辻 隆男 横浜国立大学, 工学研究院, 助教 (00432873)
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Keywords | 配電系統 / 分散型電源 / 系統連系インバータ / 無効電力制御 / 自律分散型制御 / マルチエージェント / インセンティブ制度 |
Research Abstract |
エネルギー・環境問題の解決に向けて,太陽光発電をはじめとする様々な分散型電源の導入が推進されている。大量の分散型電源を含む配電系統では,逆潮流の発生に伴い,電圧分布の管理が非常に重要な課題となる。この解決策として,本研究課題では分散型電源の無効電力制御を活用することで,電圧分布を適正化する制御技術の検討を行った。特に,大量の分散型電源を集中的に管理することは多くの技術的課題を伴うため実現は難しいとの立場から,自律分散型制御技術の適用を目指してきた。 平成21年度の研究においては,インバータの空き容量を有効に活用することで,有効電力の出力抑制を極力回避しながら電圧維持を実現する自律分散型制御手法を開発した。これに対して平成22年度は,主に以下の3点の検討を実施した。 (1)電圧を維持した上で配電損失を低減できる自律分散型制御手法の検討 電圧維持のために配電線に大きな無効電力潮流が流れると,電流の増加に伴い配電損失が増大する問題が生じる。そこで配電系統の上流側(配電用変電所に近い側)に位置する分散型電源群が無効電力を注入する制御を行うことで無効電力潮流を減少させ,配電損失を低減する手法を開発した。 (2)階層型電圧維持制御手法の開発 配電系統は主に高圧系統と低圧系統から構成されるため,これを考慮した階層型の配電系統モデルで適用できる電圧維持制御手法の開発を行った。具体的には,高圧系統における制御目標値は最適化技術により導出し,これを各低圧系統の分散型電源群が自律分散的に実現を目指す。 (3)インバータの空き容量を活用した電圧維持制御行動に対するインセンティブ制度の検討 無効電力制御を実施した需要家には有効電力出力抑制が生じる可能性があるため,需要家には積極的に電圧維持制御に協力する誘因が存在しない。そこで本研究では,インバータの空き容量の存在を考慮した上で,電圧維持制御への各需要家の貢献度を適切に評価し,報奨金を付与する制度を検討した。
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