2011 Fiscal Year Annual Research Report
極薄アルミナ絶縁ゲートを有する酸化亜鉛薄膜トランジスタの開発
Project/Area Number |
21760234
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
村中 司 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 准教授 (20374788)
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Keywords | MBE, エピタキシャル / 半導体物性 / 表面・界面物性 / デバイス設計・製造プロセス / 薄膜トランジスタ |
Research Abstract |
平成23年度の『極薄アルミナ絶縁ゲートを有する酸化亜鉛薄膜トランジスタの開発』に関して得られた研究成果を以下にまとめる。 1.ZnO成長時に使用する原料ガスについて検討を行った。ZnO成長時には通常原料ガスとして単体の酸素(O_2)ガスを用いるが、添加ガスとして窒素(N_2)ガスを用いた(O_2+N_2)混合ガスを使用した際のプラズマ分光特性、ZnO薄膜の成長速度および電気的特性を調査した。混合ガスにおけるN_2/(O_2+N_2)流量比を0%から20%に変化させた時、ZnO成長に寄与する酸素ラジカル(O^*)の発光波長777mmにおけるピーク強度は、流量比0-5%において、流量比の増加に伴い上昇し、流量比5%のとき最大で約4倍となった。これは添加ガスとしてN_2を加えることにより、O^*の生成効率が大幅に向上したことが考えられる。また、この効果はZnO薄膜の成長速度にも現れ、基板温度300℃で成長を行った場合、流量比0%の試料に比べて流量比5%の試料では成長速度が約3倍に上昇した。Hall測定から、混合ガスを用いて成長したZnO薄膜のキャリア密度を抽出した結果、約2桁のキャリア密度の低下が観測された。 2.良好なトランジスタ特性を実現するためには、トランジスタ不安定動作の原因となるZnO薄膜中におけるキャリアトラップを明らかにす否必要がある。このため、ZnO薄膜トランジスタ(TFT)素子を作製し、電流DLTS(深準位過渡分光)法を用いてZnO-TFTの過渡応答特性を評価した。ゲートバイアスとして方形波パルス(パルス振幅:0-5V、パルス幅:1s)を印加してドレイン電流の過渡応答特性を測定し、電子トラップの活性化エネルギーを算出した結果、0.17eV、0.24eV、0.56eVのトラップ準位を確認した。これらのトラップは主にZnO薄膜中に存在する結晶欠陥に由来するものであると考えられる。
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