2010 Fiscal Year Annual Research Report
ダイヤモンド・超ナノ微結晶ダイヤモンド薄膜への高濃度ボロン添加と超伝導特性
Project/Area Number |
21760239
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Research Institution | Ariake National College of Technology |
Principal Investigator |
原 武嗣 有明工業高等専門学校, 電子情報工学科, 准教授 (20413867)
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Keywords | 超伝導 / 超ナノ微結晶ダイヤモンド / ダイヤモンド / レーザーアブレーション / アークプラズマ蒸着法 |
Research Abstract |
近年,ダイヤモンドに高濃度のボロン(B)をドーピングすると超伝導を示すことが報告され,既存の超伝導理論ではうまく説明できないことから,物理的側面より大変注目を集めている.特に,転移温度TcがBドープ量とともに増加すること,すなわち電子ではなくホールが超伝導に寄与していそうなことが特徴的である.申請者は,レーザーアブレーション(PLD)法および同軸型アークプラズマ蒸着法により粒径5nm以下のダイヤモンド微結晶から構成される超ナノ微結晶ダイヤモンド(UNCD)薄膜の研究を行ってきた.両手法とも主流のCVD法に比べ異端的ではあるが,非平衡性が大変強く,B高濃度ドープに関しては極めて有効である、これまでにBのドープ量により,UNCD薄膜の電気伝導度を制御できることを確認した.Bのドープ量は1at%から20at%とした. 本年度は,300Kから3.8Kの低温範囲で高濃度Bドープ(20at%)UNCD薄膜の電気伝導度を測定し,超伝導材料としての評価を行ったので報告する.測定法は四端子法,流した電流の初期値は9.6μAとした.また,オーミック電極としては仕事関数の大きいPdを使用した.温度を徐々に下げて行き,約110K付近に達した時,BドープUNCD薄膜に流れる電流が急激に減少した。その後,さらに下げると、全く電流が流れなくなり,電圧も0となった.約110K以下の温度範囲にて電気伝導度を測定することはできなかった.原因としてはオーミック電極がUNCD薄膜表面から剥離しかけていることが挙げられる.超伝導特性評価は低温域での測定である.膜とオーミック電極の密着性が高温~常温領域とは異なるのかもしれない.今後は,電極にUNCD薄膜と密着性の良い電極材料を探索し,超伝導評価を進める予定である.本手法(PLD法,アークプラズマ蒸着法)にて高濃度BドープUNCD薄膜自体は形成できていることから,今後,本研究の発展に大いに期待できる.
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