2009 Fiscal Year Annual Research Report
単一磁束量子回路による高信頼性セルライブラリの生成支援に関する研究
Project/Area Number |
21760256
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 雅光 Nagoya University, 大学院・情報科学研究科, 特任助教 (10377864)
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Keywords | 計算機支援設計 / 大規模集積回路 / 量子エレクトロニクス / 超伝導素子 |
Research Abstract |
本研究は、高速・低消費電力を特徴とする次世代LSI技術である、単一磁束量子(SFQ)回路の設計において必要不可欠な、基本的な要素回路(セル)の集まりであるセルライブラリの構築を自動化することを目的としている。平成21年度は、信頼性の高いセルライブラリを構築するための、設計指針を得るための調査や実を進めた。 まず、既存のセルライブラリに含まれる60以上のセルについて、テスト回路を試作し、歩留まりや電源電圧に対する動作マージンを詳細に調査した。その結果、歩留まりや動作マージンが不十分と思われるセルを特定した。既存のセルは、熟練設計者の経験に頼りながら試行錯誤の上、開発が進められてきた経緯があり、回路パラメータが十分最適化されていなかったり、作製パラメータの経年変化の影響を受けていたりする可能性がある。これらのセルの設計を見直すことで、有効な設計指針のためのヒントが得られると考えられるため、引き続き検討を進める予定であり、次年度以降も評価のための回路試作を継続する。また、設計課題の一つであった、グランド面を流れるリターン電流の影響についても調査を行い、セル設計時に対策を行うことで十分な効果があることを確認した。 また、超電導工学研究所の試作ラインを使って作製されたSFQ回路の評価結果を収集し、情報共有するためのデータベースを強化した(備考欄参照)。超電導工学研究所の試作ラインを利用している国内の他の研究機関に協力を呼びかけ、今年度は約1800件の実験結果を収集した。セルの歩留まりは、収集した情報を解析することで抽出した。各研究者個人で測定・評価できる回路の数は限られていることから、構築したデータベースは、SFQ回路設計にかかわる研究者同士で課題や対策方法などの意見交換を行う上で、有意義な役割を果たすと期待している。
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