2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21760336
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山本 直樹 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (40513289)
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Keywords | システム制御理論 / 量子系 / フィードバック制御 / 量子光学 / 量子情報 |
Research Abstract |
本研究では、ネットワークの構成要素がそれぞれ量子系で与えられる「量子ネットワーク」を考察する。交付申請書記載の通り、本年度は次の3つの課題に取り組んだ:(1)ノード間にロバストな量子相関を生成するフィードバック(FB)制御器の設計法を与える。(2)系の安定性が量子相関に及ぼす影響を調べ、FBループ構成法の一般的指針を与える。(3)量子情報分野へ適用可能な制御理論の可能性を探るとともに、その物理的実現法を実験も含めて検討する。得られた成果は以下の通りである。 (1)オーストラリア国立大学・M.R.James教授のグループに所属するポスドク研究員H.I.Nurdin博士とともに、空間的に離れた量子光学ネットワーク間に強い量子相関を生じさせるFB制御則を見出した。これはいわゆるLQG制御器と呼ばれるもので、ある種のロバスト性を有していることが知られている。ロバスト性に関する若干の追加解析を行い、ジャーナル投稿の予定である。 (2)連続的測定下にある1粒子の挙動を詳細に調べ、予想していた安定性と不確かさのトレードオフを持たないシステムを一般的に構成できることがわかった。具体的には、量子系に不可避的に起こる測定のバックアクションを、測定していない物理量に押しつけることで、このトレードオフを回避することが常に可能であることが判明した。現在、Physical Review Aに投稿用の原稿を執筆中である。 (3)測定機構を含まない「量子コヒーレントFBネットワーク」の、とくに「スクイズド状態」を生成するシステムについて詳細に解析を行い、実際の実験機構を踏まえた設定における制御限界を明らかにした。さらに、東京大学・工学部物理工学科・古澤明教授の研究室にて実際に実験を行い、理論と整合することを確認した。結果は、IEEE Transaction on Automatic Controlに投稿中である。
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