2009 Fiscal Year Annual Research Report
斜面崩壊危険性を考慮した森林流域の洪水低減機能評価手法の構築
Project/Area Number |
21760387
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
田村 隆雄 The University of Tokushima, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (40280466)
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Keywords | 豪雨 / 斜面 / 崩壊 / 森林 / 貯留能 / 流出モデル / 地質 / 土壌層 |
Research Abstract |
平成21年度は,吉野川流域と那賀川流域について分布型流出モデルを構築し,既往の洪水イベントの水文情報を与えて,各流域の最大貯留量を比較評価し,地滑り地形等の表層地質が森林斜面の貯留能に与える影響について基礎的な考察を行った. 具体的な成果の1つとしては,那賀川上流域で記録的な豪雨(日本記録)と大規模斜面崩壊を記録した平成16年台風10号に伴う豪雨イベントに分布型流出モデルを適用して流出解析を行った.タンクモデルで推定される洪水期間中の斜面貯留水高の情報をもとに,斜面崩壊に対する斜面中の貯留水の影響について考察を加えた.その結果,以下のような知見を得ることができた. (1)那賀川上流域で大規模斜面崩壊が発生した大用知,阿津江周辺の森林斜面の雨水貯留高の最大値は約80mmであると推定された.(2)大用知,阿津江周辺の森林斜面の雨水貯留量最大値が発現するまでの降雨開始からの累積雨量は約200mmであると推定された.(3)大用知の斜面崩壊は,斜面中の貯留水が直接引き起こしたのではなく,約30時間の長時間にわたり雨水貯留高が最大値で継続したことや,その間に50mm/hrを超える強い降雨が数時間もたらされたことが主な原因だと推察された.(4)大用知,阿津江周辺の斜面は,比較的浅い土壌層で多量の雨水を貯留する特徴を有していると推察され,それが崩壊深さの浅い大規模な斜面崩壊の発生の一因になったと考えられた.(5)異なる岩質の混在や断層の存在という地質的要因が森林斜面の雨水貯留能(どの層がその斜面の貯留能を担うか)に関与していることが示唆された.
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Research Products
(2 results)