Research Abstract |
今年度は,インドネシア・ジャカルタ都市圏を対象として,個人行動や意識に関するアンケート調査を実施した.調査では,世帯属性,個人属性に加えて,一日の活動内容,社会活動等の活動実績と,生活の満足度などの意識についても尋ねた.調査は,2011年11月~12月に現地関係者の協力を得て実施し,ジャカルタ都市圏全域から無作為抽出によって,調査票の配布対象を選定し,最終的に,948人から回答を得ることに成功した.次に,これらのデータを用いて,個人のトリップ頻度,個人の目的への交通機関選択,目的地での時間消費について分析を行い,世帯特性が個人の行動に与える影響について実証的な検討を行った.分析に当たっては,土地利用の特性も考慮するため,土地利用の混在度を表す指標も導入している.個人のトリップ頻度の分析に当たっては,オーダードロジットモデル,交通機関選択の分析に当たっては,ミックスドロジットモデル,目的地での時間消費の分析については,時間配分モデルをそれぞれ用いて,統計的に検定を行った.その結果,男性は女性よりトリップ発生頻度が高いこと,自動車保有者は非保有者よりトリップ頻度が高いこと,高齢者ほど徒歩を選択する傾向があること,高所得者ほど自動二輪車を選択すること,高所得者ほど活動時間に関する限界効用が低下することなどが明らかとなった。ところが,いずれのモデルにおいても子供の存在に関しては,統計的に有意な結果を得ることはできなかった.この結果は,ジャカルタにおいては,個人の交通行動の決定において,子供の存在があまり影響を与えていない可能性があることを示唆している.
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