2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21760450
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤田 浩司 神戸大学, 工学研究科, 助教 (40513536)
|
Keywords | 隙間 / 流量係数 / トレーサーガス / 多室間換気 / 非線形連立方程式 / ニュートン法 |
Research Abstract |
住宅の高気密化に伴い,空気質保全のために住宅内部の適切な換気経路および換気量の確保が必要となっている。任意の条件において定量的にこれらの検討を行えるようにするためには、各室間の隙間量を知ることが必要となる。そこで、室間に温度差のある住宅の室内で1種類のトレーサーガスを発生させたときの各室の温度・濃度を用いて各室の質量収支式・濃度収支式を連立させて解くことにより、未知数である各室間の流量係数を推定する方法を検討した。 本推定法は、式(質量収支式・濃度収支式)の数と未知数(流量係数・床面圧力)の数を一致させるために、複数の温度・濃度状態を必要とする。その方法としては、複数の発熱・ガス発生条件における複数の定常状態の温度・濃度を用いる方法(定常法)と、1つの発熱・ガス発生条件における複数の時点の温度・濃度を用いる方法(非定常法)が考えられる。昨年度は、測定誤差がなく瞬時一様拡散かつ隙間特性値が2である理想条件下において定常法を用いる場合に本推定法が妥当であることを数値実験で確認した。本年度は、上記の理想条件は完全には満たされない場合における定常法および非定常法の推定可能性について、模型を用いて検討した。 その結果、定常法では推定時に用いた複数の濃度変化を平均的に再現できる流量係数を推定し、非定常法では推定時に用いた1つの濃度変化を概ね再現できる流量係数を推定することを明らかにした。また、推定時と異なる温度状態の場合では、両者の推定値は誤差を含む流量を算出し、それは本推定法では隙間特性値を2としているのに対し実際の隙間特性値は2ではない為であることを明らかにした。ただし、本推定法で得られる流量係数は現在一般的に用いられている基準圧力差(9.8Pa)で実流量と一致するように決める流量係数よりも一般的な室間温度差の範囲では実際に近い流量を算出することを明らかにした。
|
Research Products
(4 results)