2009 Fiscal Year Annual Research Report
米国ダウンタウンにおけるリンケージデザインの実践手法に関する研究
Project/Area Number |
21760489
|
Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
遠藤 新 Kogakuin University, 工学部, 准教授 (40292891)
|
Keywords | リンケージデザイン / アーバンデザイン / グリーン・インフラストラクチャー / オープンスペース / コミュニティ・ガーデン |
Research Abstract |
今年度前半は、既往研究および参考文献のレビュー作業から、米国都市におけるリンケージデザインの現代的課題として3つの課題を抽出した。第一に総合的なオープンスペース計画の策定(Comprehensive Open Space Plan)、第二にグリーン・インフラストラクチャーの計画と整備(Green Infrastructure)、第三に都市内大公園の整備(Great Urban Parks)である。これら3つの課題に対して先進的取り組み等を行っている都市群のリストアップ作業とウェブでの情報収集を行った。3つの課題は連動しており、特に古くから空洞化に悩んできた旧工業都市では、市内に分散する空地・未利用地の再生が総合的オープンスペース計画の主要課題であり、グリーン・インフラの整備や都市内大公園の整備がそのパイロットプロジェクト的な役割を果たしているとの仮説を得るに至った。 以上を踏まえて、今年度後半はペンシルバニア州フィラデルフィア市とケンタッキー州ルイビル市への現地調査を行った。フィラデルフィア市では現在、総合的なオープンスペース計画(Green Plan Philadelphia)の策定作業がほぼ完了し、それと連動したグリーン・インフラの整備計画(Green City, Clear Waters)を市の水道局が中心になって進めている。各計画の策定背景や実現戦略、両者の関係、またGreen Planのベースになった地元NPOによる空地緑化のプログラム等の実態と動向を調査し、フィラデルフィア市におけるリンケージデザインの全体像を明らかにした。一方ルイビル市は、1990年代から進めてきた著名なリバーフロント大規模公園整備(工場跡地の再生)の実態を調査した。同市ではオルムステッド卿の計画による伝統的なパークシステムを現在まで質の高い都市内自然空間として維持管理している。こうした緑の骨格とリバーフロントの新しいオープンスペース整備を連動させるような総合的オープンスペース計画の可能性を確認した。
|