2009 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体を用いた新規電子デバイスのためのナノ分析技術
Project/Area Number |
21760554
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
一井 崇 Kyoto University, 工学研究科, 助教 (30447908)
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Keywords | イオン液体 / 原子間力顕微鏡 / 電気化学 |
Research Abstract |
イオン液体とは、イオンのみを構成単位とする室温付近で液体状物質の総称である。イオン液体は通常の有機溶媒と異なり、難揮発性、不燃性という特徴を有し、申請者はイオン液体を電解液とする金属錯体分子Redoxメモリの開発を目標に、表面有機金属錯体種のイオン液体中での電気化学的挙動を調べている。本研究では、その固-液界面、特に電気化学反応に直接寄与する界面近傍のイオンの配列・挙動を明らかにするための、新たな分析手法の開発を目的としている。具体的には、ダイナミックモード原子間力顕微鏡(DFM)をベースとした新たなナノプローブ法の開発である。DFMは試料表面の高分解能構造評価手法として知られているが、これを試料表面近傍の液体分子配列構造の分析に応用する。しかし、イオン液体は水に比べて典型的に100倍程度粘性が高く、従来の方法では不安定で低感度となる事が予想される。本研究では、イオン液体中での動作に適した、水晶振動子を用いたDFMを開発する。さらに、これに電気化学測定系を組み合わせたイオン液体中電気化学DFMを開発し、金属錯体分子-イオン液体の界面近傍におけるイオン配列の分析を行う。 平成21年度は、水晶振動子をセンサとした周波数変調方式DFM(FM-DFM)を開発した。共振周波数32.768kHzの音叉型水晶振動子に、電解研磨に上り先鋭化したタングステン探針を取り付け、これを外部の圧電セラミックスで振動させた。水晶振動子の信号の検出には、水晶の圧電特性を利用し、電流検出を用いた。これにより、粘性の高いイオン液体中においても安定かつ高分解能でのFM-DFMの動作に成功した。
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