2010 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体を用いた新規電子デバイスのためのナノ分析技術
Project/Area Number |
21760554
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
一井 崇 京都大学, 工学研究科, 助教 (30447908)
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Keywords | イオン液体 / 原子間力顕微鏡 / 電気化学 / 溶媒和 |
Research Abstract |
イオン液体はアニオン・カチオンのみからなり室温付近で液体状物質の総称である。難揮発性・難燃性・高い電気化学的安定性などの特徴を有することから、電気化学における新規機能性溶媒として着目されている。われわれはこれまで、有機金属錯体分子の電気化学特性を利用したRedoxメモリへのイオン液体の応用を図ってきた。電気化学は固-液界面の反応であることから、その微視的分析は、Redoxメモリを含むイオン液体を用いた電気化学について大きな知見を与えると期待できる。本研究では、イオン液体-固体基板界面の微視的分析技術としての周波数変調原子間力顕微鏡(FM-AFM)の開発を行った。従来のSiカンチレバーを用いたFM-AFMの場合、粘性の高いイオン液体中では著しいQ値の低下により、観察の不安定化・低感度化が懸念される。そこで昨年度は、電解研磨により先鋭化した金属探針を有する音叉型水晶振動子をセンサとすることで、イオン液体中でも安定した固体基板表面形状観察が可能であることを明らかにした。これをふまえ、本年度は、センサの低ノイズ化を進めることで、イオン液体中において固体基板(マイカ劈開面)の原子分解能観察に成功した。さらに、フォースカーブ測定により、固-液界面近傍における局所溶媒和構造に由来する相互作用力の変調が検出され、その周期がイオンペアサイズとよく一致することが確認された。また、溶媒和層上において探針を走査することにより、溶媒和層におけるイオン配列の可視化にも成功した。これらの結果より、本手法がイオン液体-固体基板界面の微視的分析技術として極めて有望であることが明らかとなった。
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