2010 Fiscal Year Annual Research Report
新製法Nb3Sn超伝導線材の塑性加工技術の確立と特性改善機構の解明
Project/Area Number |
21760566
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
菊池 章弘 独立行政法人物質・材料研究機構, 超伝導材料センター, 主幹研究員 (50343877)
|
Keywords | 超伝導線材 / Nb3Sn / Ti2Sn3化合物 / ブロンズ法 / 高Sn濃度 / 臨界電流密度 / 伸線加工 / ハイブリッドブロンズ法 |
Research Abstract |
本研究では、実用Nb3Sn超伝導線材の性能向上を目指して、ブロンズ法、内部Sn拡散法及び粉末法を融合した新製法「ハイブリッドブロンズ法」による線材化技術の構築を図った。本新製法では、Nb_3Sn生成のためのSn源としてブロンズ母材の他にSn基化合物粉末を線材構成の一部とする。Sn基化合物には微粉末化が容易なTi_2Sn_3が有望で、単相を得るための合成条件は昨年度の研究で確立した。作製したTi_2Sn_3粉末を従来組成のブロンズ菅(Cu-16wt%Sn)に充填したモジュールと、従来ブロンズ(Cu-16wt%Sn)にNbフィラメントが19本複合されたサブマルチ材を組み合わせて、228芯の多芯線材を試作した。熱間押出や600℃前後の中間焼鈍を本試作で適用することができ、著しい断線の発生がなく伸線加工できることがわかった。この228芯線材を種々の条件で熱処理し反応経路を研究した。反応初期にTi_2Sn_3はCuS_3nTi_5相へ相変化して多量のSnをブロンズ母相へ供給していることが判明した。最終的に極めて高Sn濃度のブロンズ(α相+δ相)とNb芯が反応することで、化学量論組成に近い高品質なNb_3Sn相が厚く生成され、18.0Kを超える高い臨界温度が得られた。さらにNb3Sn相あたりの臨界電流密度(4.2K)を外部磁場中で計測したところ、従来のブロンズ法線材よりも1.5-2.0倍も高いことがわかり、次期実用線材として有望であることが示された。
|