2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21760571
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
三上 祐史 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, サステナブルマテリアル研究部門, 研究員 (10415747)
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Keywords | 熱電変換材料 / セラミックス / チタン / ゼーベック係数 / 導電率 / 熱伝導率 |
Research Abstract |
本研究では、チタン系酸窒化物TiO_xN_yの高い不定比性を利用して、ゼーベック効果が高い絶縁性のTiO_2から、金属並みに導電性の高いTiNまで電気的特性を制御することによって、Ti系セラミックス材料において熱電性能を最大化するための材料設計指針を明らかにする。 本年度は主にチタン系酸窒化物TiO_xN_yの単相試料の作製方法について検討を行った。その作製方法として、まずTiO_2とTiNを出発原料とする固相反応による焼結を試みた。その結果、出発原料としてナノサイズのTiO_2粉末とTiN粉末を用いて、遊星型ボールミルにより湿式混合を行うことにより、組成の均質化が可能であることが分かった。ただし、メカニカルアロイング効果などによる物理的な混合効果によりTiO_xN_y相を生成することは困難であることが分かった。一方、高温化での固相反応により出発原料として用いたTiO_2とTiNを反応させ、TiO_xN_y相を生成させることに成功した。固相反応には大気中の酸素との反応による酸化を防ぐために真空雰囲気下が適していることが分かった。その際に、真空中での焼結においては酸素の脱離が認められたが、窒素成分については目的組成と同等の組成が焼結後も保たれることが分かった。また、黒鉛型を用いた加圧下での焼結により、相対密度90%以上の緻密な焼結体が得られることが分かった。 作製した焼結体は、TiO_2に比べて高い導電性を示し、大きな負のゼーベック係数を示した。また、熱伝導率はルチル型のTiO_2に比べて大幅に低い値を示した。この結果、TiO_2やTiNに比べて飛躍的に高い熱電性能を示すことが分かった。次年度、さらにOとNの組成比を制御し、物性との関係をより詳細に検討することにより、熱電性能を最適化することが可能であると考えられる。
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