2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21760571
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
三上 祐史 独立行政法人産業技術総合研究所, サステナブルマテリアル研究部門, 研究員 (10415747)
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Keywords | 熱電変換材料 / セラミックス / 酸化チタン / マグネリ相 / 窒化 / 熱電特性 |
Research Abstract |
本研究では、チタン系酸窒化物Tio_xN_yの高い不定比性を利用して、ゼーベック効果が高い絶縁性のTiO_2から、金属並みに導電性の高いTiNまで電気的特性を制御することによって、Ti系セラミックス材料において熱電性能を最大化するための材料設計指針を明らかにする。 まず、チタン系酸窒化物Tio_xN_yの単相試料の作製方法について検討を行った。その結果、ナノサイズのTiO_2粉末とTiN粉末を出発原料とし、遊星型ボールミルにより十分に混合した粉末を、固相反応させることでTio_xN_y相を生成させることに成功した。固相反応には大気中の酸素との反応による酸化を防ぐために真空雰囲気が適していることが分かった。加圧下で焼結を行う通電焼結法を用いることにより、相対密度90%以上の緻密な焼結体が得られた。また、TiO_2とTiNの混合比を制御することにより、酸化チタンに酸素欠損を導入した場合に生成するマグネリ相Ti_nO_<2n-1>(n=9~5)の結晶構造を有する試料が得られることが分かった。 作製した焼結体の熱電特性を評価した。酸化チタンのマグネリ相に窒素を導入した試料では、ゼーベック係数(S)が減少するものの、導電性(σ)が大幅に向上した。その結果、nが小さくなるに従い導電性の向上効果により、パワーファクタ(S^2σ)が向上した。また、結晶構造についてTEM観察を行ったところ、マグネリ相化により結晶構造に周期的な欠陥が導入されることが分かった。結晶構造へ欠陥が導入されたことによるフォノン散乱の効果により熱伝導率が大幅に低減した。これらの効果により、TiO_2やTiNに比べて飛躍的に高い熱電性能が得られた。
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