2010 Fiscal Year Annual Research Report
核反応を用いた3次元分散中性子ジェネレーターシステムの研究
Project/Area Number |
21760715
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
瀬川 麻里子 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 研究職 (00435603)
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Keywords | 中性子生成 / 核反応 |
Research Abstract |
本研究では、原子炉から発生するガンマ線及び熱中性子線を種に高速中性子を他方向に発生させ、設置位置可変の分散型中性子源を新たに開発する。これによる原子炉からの中性子ビームを従来の一方向から多元的なものに進化させ、高度化した革新的中性子照射場の実現を目的とする。 具体的には、大型中性子源から得られる熱中性子は高エネルギーガンマ線と中性子と分けられることなく導管によって引き出されるため、これらγ線成分が下流装置に対して深刻なバックグラウンドとなりデータを劣化させ、同時に装置自体の放射線損傷を引き起こす。このバックグラウンドγ線を如何に除去するかが極めて重要な問題であった。 本研究ではこれらのγ線バックグラウンド問題を解決し"きれいな"中性子線を生成すると共に、中性子ビームを従来の一方向から多次元的なものに進化させ原子炉からのビーム下流域であれば場所によらず、実験ごとに中性子ビームサイズを最適化し、試料位置でさまざまな角度からの中性子照射が可能である「3次元分散中性子ジェネレーターシステム」の開発を目的とする。 そこで本年度は、照射場中の高計数率中性子及びγ線の3次元角度分布計測システムを構築し、基本的な性能を検証した。当システムは、中性子・ガンマ線検出器、マルチチャンネルデータ計測器、可視化部からなる。線源及びPbコリメータを使用したテストにより、中性子については1mmの空間分解能で2次元計測可能であることが分かった。 さらに、本測定である「中性子照射場中の高計数率中性子及びγ線の3次元角度分布計測」に向け準備を進め実施に問題ない状態である。3月末のビームタイムが延期になったが、稼働後に本実験の予定である。
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