2009 Fiscal Year Annual Research Report
相同組換えに関与するRad51の新規メディエーター蛋白質Shu複合体の機能解析
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21770005
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
笹沼 博之 Osaka University, 蛋白質研究所, 特任研究員 (00531691)
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Keywords | 減数分裂 / 組換え / Rad51 |
Research Abstract |
今年度は、申請内容に書かれている通り、Psy3, Csm2, Shu1, Shu2蛋白質(頭文字を取って以後、PCSSと略す)の変異株を単離し、減数分裂期における機能を解析した。その際、必要となったPsy3とCsm2蛋白質に対するポリクローナル抗体を作成した。 この抗体を用いて、細胞内においてPCSS蛋白質が1:1:1:1からなる複合体を形成していることを発見したほか、様々なpcss変異株の変異株を用いて、この複合体がどう変化するかを調べた。また免疫染色、クロマチン免疫沈降(ChIP)実験により、機知のRad51メディエーター蛋白質(Rad52, Rad55/Rad57)とは独立して、PCSS複合体が新奇のメディエーターとして機能していることを明らかにした。またPsy3, Csm2蛋白質の染色体上への結合は、Shu1/Shu2がなくても可能であるが、Shu1, Shu2の結合は、Psy3, Csm2を必要とすることがわかった。また他の生物種では、対細胞分裂期に物理的相互作用が検出されているSrs2蛋白質とPCSS蛋白質との関係を調べだ。その結果、われわれが用いている出芽酵母では、少なくとも減数分裂期において、Srs2蛋白質とは独立してPCSS複合体が機能している可能性が考えられる。 今年度は、さらに大腸菌過剰発現系を用いて、高純度に精製されたPCSS複合体を再構成した。生化学的な解析から、Psy3/Csm2複合体のみにDNA結合活性があり、Shu1/Shu2複合体には見られなかった。先ほどのChIP実験の結果を加味すると、PCSS複合体の中でPsy3/Csm2複合体がDNA側のインターフェイスとなり複合体としてDNAに結合しRad51の結合を促進していると考えられる。実際にゲルシフトアッセイにより、PCSS蛋白質がRad51蛋白質のDNAへの結合を促進している結果を得ている。今まで組換え反応に必要であるとしかわかっていなかったこれら四つの蛋白質の機能が私の解析を通して、確実に明らかになったと思っている。さらに、私が所属する蛋白質研究所内との共同研究により、この蛋白質標本を用いた蛋白質結晶作製が完了しており、次年度の目標であるPCSS複合体の蛋白質構造解析が可能であると考える。これにより構造生物学的な観点からPCSS蛋白質の機能が明らかになるのではないかと考えている。
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Research Products
(4 results)