2010 Fiscal Year Annual Research Report
つがい外配偶行動に起因する、繁殖時期決定に関する雌雄間の対立
Project/Area Number |
21770014
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山口 典之 長崎大学, 環境科学部, 准教授 (60436764)
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Keywords | ツバメ / Hirundo rustica / 繁殖戦略 / つがい外配偶 / 配偶者防衛 / マイクロサテライト / 給餌戦略 / 雌雄間の対立 |
Research Abstract |
社会的一夫一妻の社会形態をとる鳥種では、つがい以外の個体との間に子をもうけるつがい外配偶行動が知られている。つがい外配偶行動という現象は、1)個体レベルの行動と、2)時空間的繁殖分布などの個体群パラメーターの両方から影響を受ける。ところが、これまでの研究は、そのいずれかの側面からのみに着目していた。そこで本研究は、ツバメ(Hirundo rustica)を対象に両者を統合的に扱うことを目的とした。 昨年度に引き続き、千葉県富津市に形成されたコロニーで繁殖を行ったツバメを対象に研究を行った。コロニー内のつがい外配偶の実態を調べるために、繁殖に関わった全ての親子の血液からDNAを抽出し、マイクロサテライト部位を用いた父性鑑定を行った。また、つがい外配偶行動に関する個体レベルの行動を調査するために、雌の積極的なつがい外配偶追求行動を中心に行動追跡調査を行った。雌はしばしば雄の配偶者防衛から逃げ出す行動を見せ、この行動の回数が多いとつがい外子が増えることがこれまでに明らかとなっている。どのような雄とつがった際に、雌はつがい外配偶を求めるか調べるために、雄の遺伝的な質を表す形質(尾羽長、喉部の赤い羽毛の面積と色彩)と、雄の状態を表す形質(体の太り具合、さえずりの頻度)を測定した。つがい外配偶行動は繁殖密度や繁殖同調性の度合いによっても変化するため、コロニー内の巣を見回り、繁殖をしている巣の場所と進行具合を経時的に記録した。 本年度の結果から、(1)体調が良く、喉部の赤い羽毛の面積を持つ雄がつがい相手として雌に好まれること、(2)喉部の赤い羽毛の面積が小さい雄(=遺伝的に優れていない)とつがった雌は、雄による配偶者防衛行動からよく逃げ出し、つがい外配偶行動を求めること、(3)雌が積極的につがい外配偶を求めたつがいの巣では、雄が養育投資を削減すること、(4)天候が雌雄のつがい外配偶行動に大きく影響を与えることが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)