2010 Fiscal Year Annual Research Report
天然変性タンパク質としての観点に基づくiPS細胞誘導因子Sox2の動態と機能解析
Project/Area Number |
21770126
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Research Institution | 公益財団法人サントリー生命科学財団 |
Principal Investigator |
菅瀬 謙治 公益財団法人サントリー生命科学財団, 生物有機科学研究所, 主席研究員 (00300822)
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Keywords | 分子認識および相互作用 |
Research Abstract |
iPS細胞誘導因子の1つである転写因子Sox2のDNA認識機構を分子の動きの面から明らかにするべく、本年度は、遊離状態およびDNA(utf1)結合状態にいて、Sox2が元々どのような運動性を示すのかについて解析を行った。昨年度実施した緩和分散実験から、遊離状態では、DNAに直接結合するSox2の第1ヘリックスが大きく揺らいでいたことが分かっていたが、このデータを詳細に解析することによって、2%程の極低存在比状態が存在していることが分かった。さらに、その点存在比状態の化学シフトの解析から、6割程度ほどけていることが分かった。6割の残基数がほどけているではなくて、構造的に解け具合が6割程度であることを意味する。さらに、水とアミドプロトンとの交換速度を決定するCLEANEX-PM実験から、多くの残基で水とアミドプロトンとの交換が観測された。それらの残基では、水と接しやすい、すなわち、構造が瞬間的にほどけていることが分かった。この結果は緩和分散実験の結果を支持する。 続いて、DNA結合状態の解析だが、まずは二本鎖DNAを調製した。ここでは当初はNMRシグナルを確認しながら、二本のDNAが当量混ざるように調製したが、後に、HPLCであまりの一本鎖と二本鎖を分離するようにした。 DNA結合状態では、Sox2:DNA=1:1の濃度比で緩和分散実験を行ったが、遊離状態で見えた揺らぎは結合状態では観測されなかった。すなわち、Sox2はDNAと結合することによって構造が硬くなることが分かった。
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Research Products
(7 results)