2010 Fiscal Year Annual Research Report
脂質性シグナル伝達に関わるPIP5Kのアイソザイム固有の活性制御・生理機能の解析
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21770132
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
船越 祐司 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教 (30415286)
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Keywords | 脂質性シグナル伝達 / 低分子量Gタンパク質 / リン脂質代謝 / アイソザイム |
Research Abstract |
リン脂質代謝酵素ホスファチジルイノシトール4-リン酸5-キナーゼ(PIP5K)は、ホスファチジルイノシトール4,5-二リン酸(PIP_2)の産生を介して、細胞骨格再構築、小胞輸送など生体内において多彩な機能を担っている。PIP5Kにはα、β、γの三種のアイソザイムとγには3つのスプライシングバリアントが存在する。本研究では、それぞれのアイソザイムの活性化機構とその生理機能について解析を行い、以下の知見を得た。 先に我々は、PIP5Kの直接の活性化因子として低分子量Gタンパク質Arf6を同定しているが、今回我々は、in vitroにおいてArf6はPIP5Kα、βを活性化するがPIP5Kγは活性化しないことを見出した。さらに、このアイソザイムによる活性化の違いは、PIP5Kγに固有のN末端領域がArf6との相互作用を阻害することによりArf6による活性化を抑制していることに起因することを明らかにした。一方で、マウス脳細胞質を用いて同様のArf6による活性化を測定したところ、精製タンパクを用いた場合と異なり、PIP5Kγも脳細胞質中ではArf6により活性化されることを示唆する結果を得た。この結果より、脳細胞質中には、PIP5KγのN末端領域による活性化抑制を解除し、Arf6と協調してPIP5Kγを活性化する因子(解除因子)が存在することが想定された。そこで、この解除因子のカラムクロマトグラフィーによる同定を試みたところ、ある画分に分画されていることが示唆された。今後、さらなる精製を行い、解除因子を同定することにより、PIP5KγのArf6による活性制御機構の詳細を解明していく予定である。
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Research Products
(11 results)