2009 Fiscal Year Annual Research Report
カルシウム結合タンパク質ALG-2による小胞体からの輸送小胞出芽の制御機構の解析
Project/Area Number |
21770139
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柴田 秀樹 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (30314470)
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Keywords | カルシウム結合タンパク / 小胞輸送 / 小胞体 / COPII小胞 / ALG-2 / アネキシン / FRAP / 蛍光イメージング |
Research Abstract |
COPII小胞は、小胞体からゴルジ体への順行輸送を担う輸送小胞であり、小胞体の特別な膜区画ERES(endoplasmic reticulum exit site)から出芽する。本研究は、COPIIの外殻構成タンパク質Sec31Aにカルシウム結合タンパク質ALG-2がCa^<2+>依存的に相互作用することに着目し、Ca^<2+>シグナルがALG-2を介してCOPII小胞の出芽と物質輸送を制御している可能性について検証し、その生理的意義を解明することを目的としている。研究計画に沿い本年度は、Sec31AのALG-2結合領域を同定した。次に、緑色蛍光タンパク質(GFP)を融合させた野生型およびALG-2結合領域を欠損した変異体Sec31Aを恒常的に発現するHeLa細胞を作製し、FRAP(Fluorescence recovery after photobleaching)法により、これらGFP融合タンパク質のERESとの結合性と滞在時間を測定した。その結果、ALG-2結合領域を欠いたSec31AはERESとの結合の親和性の高い成分が減少し、ERESにおける滞在時間が有意に減少していた。よって、ALG-2結合領域がSec31AのERES滞在に重要な役割を担っていると考えられた。さらに、ALG-2のCa^<2+>依存的アダプター機能に着目して解析をすすめたところ、ALG-2の相互作用タンパク質のひとつであるアネキシンA11が、ALG-2とCa^<2+>依存的にERESに動員されることを見出した。アネキシンはCa^<2+>要求性のリン脂質結合タンパク質であり、ALG-2とアネキシンA11という2つのカルシウム結合タンパク質のインタープレイがERESの膜構造をダイナミックに制御している可能性が考えられ、興味深い。今後、ALG-2およびアネキシンA11の発現抑制が小胞体からゴルジ体への物質輸送に与える影響などを解析し、Ca^<2+>シグナルがCOPII小胞による物質質輸送を制御する分子機構とその生理的意義の解明をすすめる予定である。
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