2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21770142
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
岩崎 哲史 Kobe University, 遺伝子実験センター, 技術専門職員 (40379483)
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Keywords | 発生・分化 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
アフリカツメガエル(ゼノパス)卵受精時にチロシンキナーゼSrc(xSrc)が卵形質膜中のマイクロドメインである脂質ラフトで活性化することが知られでいる。しかし精子が卵膜上の精子受容体へ結合した後、その情報がどのようにxSrc活性化へつながるかは不明である。 本研究では受精初期の分子メカニズムを明らかにするために、xSrcがどのように活性化されるのかについて、脂質ラフトに着目して生化学、細胞学的解析を行った。これまでに、Gタンパク質活性化剤が脂質ラフトに局在するxSrcを活性化することが明らかになっていることから、GTP結合タンパク質(Gタンパク質)をxSrc活性化因子であると考えて解析を進めた。まずGタンパク質阻害剤でゼノパス卵を処理した後、人工受精を行ったところ、受精に伴う卵活性化が阻害剤の濃度に依存して抑制された。つづいで未受精卵から生化学的に抽出した脂質ラフトを用いた解析により、精子によるxSrc活性化がGタンパク質阻害剤によって阻害された。ウエスタンブロッティング解析から、ゼノパス未受精卵の脂質ラフトには複数種の三量体Gタンパク質が局在していることが示された。さらにゼノパスのGタンパク質αサブユニットを分子クローニングし試験管内で再構成したところ、ゼノパスGタンパク質が活性化した場合にのみラフト中のxSrcが活性化することが示された。 以上の研究成果は、三量体Gタンパク質αサブユニットがゼノパス受精時にxSrcと直接相互作用し、xSrcを活性化することが明らかになった。この研究成果は、脊椎動物の受精時におこっている分子メカニズムが解明だけではなく、成育医療や創薬研究などの応用研究においても重要な基盤的情報を提供するものである。
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