2010 Fiscal Year Annual Research Report
ジアシルグリセロールキナーゼηによる細胞増殖制御機構の解明
Project/Area Number |
21770147
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
安田 智 国立医薬品食品衛生研究所, 遺伝子細胞医薬部, 主任研究官 (20381262)
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Keywords | シグナル伝達 / 脂質 / 酵素 |
Research Abstract |
ジアシルグリセロールキナーゼ(DGK)は、ジアシルグリセロールをリン酸化し、ホスファチジン酸に変換する酵素である。II型DGKに属するDGKηが、上皮増殖因子受容体シグナルに応答して、Ras依存的にB-RafとC-Rafのヘテロ二量体形成とC-Rafの活性化を促進し、ERK経路を活性化することを昨年度の研究で明らかにした。細胞レベルでのDGKηの細胞増殖制御機構の解析はすでに一定の目処が立ったため、今年度は生体と病態におけるDGKηの役割の解明を中心に研究を行った。遺伝子産物の影響を生体レベルで検討する上で、ノックアウト(KO)マウスは強力なツールとして広く用いられている。現在、DGKηのKOマウスを作製し、表現型の解析を行っているところである。また病態との関わりにおいて、RasおよびB-Rafの変異は発癌と深く関わっていることから、ERK経路を活性化させるDGKηも同様に発癌に関わっている可能性が考えられた。そこで癌部と非癌部よりmRNAを抽出し、定量的PCRによりDGKηの発現量を検討したところ、大腸がんおよび肝臓がんでは癌部と非癌部で有意な発現の差は認められなかったが、胃がんにおいて癌部で有意な発現の亢進が認められた。このことよりDGKηはある種のがんにおいて発現が亢進しており、発癌に関与する可能性が示された。さらに今後はDGKη KOマウスを用いた発癌モデルも検討したいと考えている。
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Research Products
(1 results)