2009 Fiscal Year Annual Research Report
姉妹染色体連結に関与する出芽酵母コヒーシン複合体の構造機能解析
Project/Area Number |
21770172
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
西野 達哉 National Institute of Genetics, 分子遺伝研究系, 助教 (50533155)
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Keywords | 細胞分裂 / 細胞周期 / 染色体分配 / 姉妹染色分体接着 / タンパク質複合体 / 蛋白質立体構造 / ダイナミクス / コイルドコイル |
Research Abstract |
Smcタンパク質複合体はATP依存的にDNA高次構造制御を行い、すべての生物においてみられる。原核生物及び、古細菌では一つのSmcタンパク質がホモニ量体を形成し、ヌクレオイド凝縮及び染色体分配に関与する。一方、真核生物では6種のSmcが、コヒーシン(Smc1-Smc3)、コンデンシン(Smc2-Smc4)、Smc5-Smc6複合体とヘテロニ量体を形成する。コヒーシン複合体は姉妹染色分体接着を担い、Smc1、Smc3及び非Smc蛋白質Scc1、Scc3より構成される。これまでの生化学的解析より、Smc1-Smc3-Scc1三量体はリングを形成し、このリングが姉妹染色分体を内包していると考えられている。電子顕微鏡やAFM観察より、Smc1-Smc3二量体はV字状で、Smc1-Slnc3-Scc1三量体はリング状である事が報告されている。しかし現在のところ、この複合体の溶液ダイナミクスは不明で、V字状のSmc1-Smc3二量体がどのようにリングを形成し、DNA内包に至るか明らかになっていない。今年度はコヒーシン複合体の溶液動態を調べる目的で生体分子を非染色条件下溶液中で観察できる高速AFMを使用し、解析を行った。その結果、Smc1-Smc3二量体は三つの球状ドメインが二つの紐状コイルドコイルで連結されており、激しく揺動していた。Smcタンパク質のコイルドコイル長は約50nmであったが非常に柔軟で、両端にある球状ドメインは揺れ動いていた。一方、古細菌Smcは比較的固く、コイルドコイルはそれほど曲がらなかった。Smc1-Smc3-Scc1三量体は溶液中でリング構造をとっており、プロテアーゼによりScc1を切断した三量体はリングが開環し、Smc1-Smc3二量体と同様な形態であった。
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