2010 Fiscal Year Annual Research Report
姉妹染色分体連結に関与する出芽酵母コヒーシン複合体の構造機能解析
Project/Area Number |
21770172
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
西野 達哉 国立遺伝学研究所, 分子遺伝研究系, 助教 (50533155)
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Keywords | 構造生物学 / 蛋白質 / 走査プローブ顕微鏡 / 生物物理 / 酵素反応 |
Research Abstract |
Smcタンパク質複合体はATP依存的にDNA高次構造制御を行い、すべての生物においてみられる。原核生物及び、古細菌では一つのSmc蛋白質がホモ二量体を形成し、ヌクレオイド凝縮及び染色体分配に関与する。一方、真核生物では6種のSmcが、コヒーシン(Smc1-Smc3)、コンデシシン(Smc2-Smc4)、Smc5-Smc6複合体とヘテロ二量体を形成する。コヒーシン複合体は姉妹染色分体接着を担い、Smc1、Smc3及び非Smc蛋白質Scc1、Scc3より構成される。これまでの生化学的解析より、Smc1-Smc3-Scc1三量体はリングを形成し、このリングが姉妹染色分体を内包していると考えられている。電子顕微鏡やAFM観察より、Smc1-Smc3二量体はV字状で、Smcl-Smc3-Scc1三量体はリング状である事が報告されている。しかし現在のところ、この複合体の溶液ダイナミクスは不明で、V字状のSmc1-Smc3二量体がどのようにリングを形成し、DNA内包に至るか明らかになっていない。 今年度はSmc蛋白質一群の溶液動態を比較する目的でSmc1-Smc3,Smc2-Smc4,Smc5-Smc6,古細菌Smc,古細菌Rad50の溶液中構造を高速AFMを使用し、解析を行った。その結果、いずれも長いコイルドコイルに球状ドメインが末端に存在するという形態は似ていた。Smc蛋白質は全て二量体であったが、古細菌Rad50は溶液中で単量体であった。またSmc蛋白質同士を比べてみると、Smc1-Smc3,Smc2-Smc4,Smc5-Smc6二量体はいずれも似たような柔軟なコイルドコイル領域を示していたが、特にSmc1-Smc3二量体のコイルドコイル領域は末端のATP加水分解ドメインのない状態ではコイルドコイルがばらけるようなものも観察できた。一方、古細菌Smcは比較的固く、コイルドコイルはそれほど曲がらなかった。さらにはATP加水分解ドメインを欠失したコンストラクトでもコイルドコイルを形成していた。このことからSmc蛋白質間におけるコイルドコイルの安定性は異なっていることがわかった。
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