2009 Fiscal Year Annual Research Report
F1-ATPaseの回転に必要不可欠な回転子領域の決定
Project/Area Number |
21770176
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
古池 晶 Osaka Medical College, 医学部, 助教 (60392875)
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Keywords | 1分子観察 / ATP合成酵素 / トルク / 光学顕微鏡 / 回転分子モーター |
Research Abstract |
ATP駆動の回転分子モーター、F_1-ATPase(F_1)は、ATP合成酵素(F_0F_1)の水溶性部分で、現在もっとも構造・機能研究の進んだ蛋白質のひとつである。しかし、その回転の仕組み、すなわち「どこで回転力が生み出され、どのようにしてそれが回転軸へと伝わるのか」については、つい最近、今までの認識を根本から覆す発見があった。遺伝子操作でその回転軸部分をほとんど削り取ったF_1変異体(軸なしF_1)が、回転速度や方向の正確さは低下するものの、正しい方向へと回転できるというものである。この実験結果は、いままで重要だと考えられていた回転子と固定子の接触部分のほとんどすべてが、回転に不要であることを示している。そして、この「軸なしF_1」に僅かに残されている接触部分のどこかには、回転に不可欠な動作領域が残されていると考えられる。 本研究の目的は、必要最小限の回転子を決定する事によって、その回転に必要不可欠な動作領域を限定することである。具体的には、「軸なしF_1」の回転子から、固定子と接触していると思われる部分を、さらに削除していくのだが、その接触領域が小さくなればなるほど、回転子が固定子に保持されることが難しくなる(外れやすくなる)と考えられる。回転が可能かどうかは、回転子に目印を付け、光学顕微鏡で直接観察して判断するため、外れてしまっては都合が悪い。そこで、従来目印として使っていた金粒子の大きさを40nmから20nmへと小さくしたり、その表面の修飾方法を変えたりして、目印が変異体に与える影響を抑える工夫をした。また、溶液中に、臨界ミセル濃度以下のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を加えることによって、基板上に固定したF_1分子を(恐らく基板と目印との摩擦を減らすため)より多く観察できることを見出した。来年度は、本年度に得られた観察系を用いて、回転可能な最小の回転子を決定したい。
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Research Products
(5 results)