2011 Fiscal Year Annual Research Report
アクチン結合蛋白質トロポミオシン4の紡錘体形成における機能解析
Project/Area Number |
21770200
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西住 紀子 東京大学, 医科学研究所, 技術専門職員 (30396882)
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Keywords | 減数分裂 / 紡錘体 / リン酸化 / アクチンフィラメント |
Research Abstract |
発生過程において、細胞が不等分裂する際には、紡錘体の向き(極性)によって分裂後の細胞の運命が決定される。例えば、マウス卵減数分裂では不等分裂が引き起こされ極体が放出されるが、そのためには、紡錘体が膜近辺に偏って位置することが重要である。このような紡錘体極性におけるアクチンフィラメントの分子機構の解明をめざし、本研究ではアクチン結合蛋白質トロポミオシン4(Tm4)に注目し以下の解析を行った。Tm4のマウス卵の減数分裂過程における局在を調べたところ、Tm4は紡錘体が形成されるに従い、紡錘体上や、膜近傍アクチンチャップに局在することが明らかとなった。また、M期の進行に重要なキナーゼPlk1(polo-like kinase 1)によるTm4のリン酸化サイトの、リン酸化特異的な抗体を作成し、その抗体を用いて蛍光免疫染色を行ったところ、紡錘体極でPlk1と共局在した。この結果からTm4が紡錘体形成に関与する可能性が示唆された。さらに、マウス卵でのTm4の機能を明らかにするため、マウス卵へモルフォリノおよびsiRNAを導入することによりTm4の発現抑制を行い、紡錘体の形成、動態に対する影響の解析を試みた。マウス卵の紡錘体微小管をEGFP融合α-tubulinで、染色体をDSRed融合ピストンH2Bで、また、アクチンの動態をEGFP融合Utropinで可視化しライブ観察を行った。Tm4の発現を抑制するsiRNAを用いて、マウス卵に導入し、紡錘体や染色体の動態を観察した結果、Tm4の発現を抑制したマウス卵では、減数分裂時の紡錘体形成異常や、紡錘体の膜への局在異常、染色体の動態異常が観察された。この結果から、Tm4はマウス卵減数分裂期において紡錘体極性に寄与することが明らかとなった。又、細胞レベルでの解析から、Tm4はミオシンIIのアクチンフィラメントへの結合に必須であることがわかった。このことから、Tm4はアクトミオシンの形成を介して、マウス卵の不等分配の正常な進行を実現させている可能性も示唆された。
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Research Products
(3 results)