2009 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌とRNAバクテリオファージQβを用いた実験室内共進化系の確立
Project/Area Number |
21770255
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
柏木 明子 Hirosaki University, 農学生命科学部, 准教授 (40362652)
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Keywords | 共進化 / 実験進化 / Qβファージ / 大腸菌 |
Research Abstract |
新型ウイルスや変異型ウイルスが毎年のように発生することは社会問題の1つであり、これらの発生予測法確立は急務である。新興ウイルスの多くがRNAウイルスである(Domingo&Holl Annu.Rev.Microbiol. 1997)ことを考えると、RNAウイルスがいかに変化するのかというRNAウイルスの進化機構を解明することは重要である。また、単独では増殖できない寄生者であるRNAウイルスは宿主と寄生者が他方の変化に抗して互いに変化を繰り返す「敵対的な共進化」の中で進化すると考えられる。これらを解明するため、RNAウイルスを用いた「拮抗的な共進化のモデル実験系」を用い遺伝子型と表現型の変化を解析することが重要であると考えた。本研究では申請者が構築に成功した大腸菌とRNAバクテリオファージQβを用いた「継代共培養系」を長期間続け両者の変化過程を遺伝子型と表現型の両面から解析し、RNAウイルスの進化機構解明に向けた基礎的知見を得ることを目的とした。 平成21年度には、Qβファージと大腸菌の「実験室内継代共培養系」を54日間継続することに成功し、両者の個体群動態とQβファージの遺伝子型の変化を解析した。また、Qβファージだけを新鮮な感受性大腸菌に対して単独継代培養したQβファージの遺伝子型の変化と比較した。 その結果、共進化によって分子進化が加速されることを明らかにした。この結果よりRNAウイルスが感受性宿主の中で増幅を繰り返すよりも宿主とともに共進化することの方がRNAウイルスの分子進化が促進される可能性を示した。
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