2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒュウガナツ‘西内小夏'花粉の受粉による自家不和合性打破と種子の矮小化の機構解明
Project/Area Number |
21780024
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
本勝 千歳 宮崎大学, 農学部, 助教 (30381057)
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Keywords | カンキツ / 自家不和合性 / 非還元配偶子 |
Research Abstract |
昨年度までの結果より'西内小夏'は生産する花粉の中に一部非還元花粉が含まれていることが示唆され、そのため自家不和合性の打破ならびに種子の矮小化が起こっていると推察されている。本年度は少核化過程についての知見を得るため、普通系ヒュウガナツ、ハッサク、'西内小夏'を用いた人工受粉により得られた果実、種子調査、胚発育過程の観察、'西内小夏'花粉を受粉して得られた未熟胚由来の三倍体個体の作出を目的とした救助培養、倍数性分析を行った。受粉後6、8、10、12、14週目に各受粉区の果実をサンプリグし、種子を摘出し大きさを計測した。種子親が普通系ヒュウガナツ、'西内小夏'いずれの場合も受粉後6週目には有意差は見られなかったが、8週目以降でハッサク花粉受粉区の種子が有意に大きくなった。胚発育過程の観察により、受粉後10週目以降の種子において、'西内小夏'花粉受粉区の胚に異常が見られたため、胚の退化は受粉後8~10週目に開始し、種子のしいな化は受粉後10~12週目に起こると考えられた。次に受粉後6、8、10、12、14週目にサンプリングした果実から種子を取り出し、MT培地に胚を植え付けた。受粉後12、14週目に摘出した胚で、全ての受粉区の胚が発芽したが、'西内小夏'花粉受粉区から得られた未熟胚は、ハッサク花粉受粉区の胚より発芽率、生存率がともに低かった。その救助培養により得られた植物体について、フローサイトメトリーによる倍数性分析を行った。普通系×ハッサク、'西内小夏'×ハッサク胚由来の植物体は全て二倍体を示したのに対し、受粉後12、14週目の普通系×'西内小夏'から得られたしいな種子由来の植物体は三倍体を示した。しかし、'西内小夏'花粉の受粉により得られる未熟胚由来救助培養の問題点として、再生効率が極めて低いことと、植物体が弱く鉢上げが困難であったのでさらなる検討が必要であると考えられた。
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