2009 Fiscal Year Annual Research Report
キクの花序構成決定における温度反応特性および発現遺伝子の解析
Project/Area Number |
21780032
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
長菅 香織 National Agricultural Research Organization, 東北農業研究センター・寒冷地野菜花き研究チーム, 主任研究員 (30370612)
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Keywords | キク / 花序構成 / 温度 / 小花 / 舌状花 / 管状花 / 形態学 / 分子生物学 |
Research Abstract |
キクの花序を構成する小花には,「舌状花」および「管状花」の二つの表現型があり,その数や構成比は切り花の商品価値を左右する.本研究では,これまでに知見が少ない,花序構成決定における温度反応特性の解明および関連遺伝子の探索を行い,品質向上のための新たな技術開発や品種選抜・育種に繋げることを目的としている.本年度は,夏秋ギク型輪ギクについて,花序発育段階ごとの栽培温度が花序構成に及ぼす影響を調査し,遺伝子解析のための花序構成制御法を検討するとともに,花序構成に関わる遺伝子断片候補を探索した. 夏秋ギク品種を23/18℃(昼/夜温)で生育させ,総苞形成期から花弁形成期における花序発育段階ごとに33/18℃の高温処理を5日間行った.その結果,‘岩の白扇'では小花形成前期から高温処理した株で,小花に占める管状花の割合(管状花率)が有意に低かった.また,‘精の波'の花序構成には高温処理による影響はみられなかったが,管状花率は‘岩の白扇'に比べて非常に低かった.以上より,‘岩の白扇'において,栽培温度が花序構成に大きく影響する時期が特定され,小花形成前期からの23/18℃遭遇を管状花形成促進条件,33/18℃遭遇を管状花形成抑制条件として,遺伝子解析に利用できると考えられた.また,‘精の波'は管状花が少ない品種として,‘岩の白扇'との比較評価において有用な品種と考えられた. 次に,‘岩の白扇'における花序構成制御法を利用し,小花形成前期からの温度条件により発現が異なる遺伝子断片をディファレンシャルディスプレイ法で探索した.その結果,管状花形成促進条件では抑制条件とは異なる4つの遺伝子断片がみられ,管状花形成抑制条件では促進条件とは異なる9つの遺伝子断片が認められた。これらは花序構成に関与する温度反応性の遺伝子断片候補と考えられた.
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