2009 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌撹乱法による昆虫ホルモン情報伝達ネットワークの解明
Project/Area Number |
21780047
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小野 肇 Kyoto University, 大学院・農学研究科, 助教 (70452282)
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Keywords | 昆虫 / 生理活性 / 生体分子 / 発生・分化 / シグナル伝達 / ショウジョウバエ / 脱皮ホルモン / 幼若ホルモン |
Research Abstract |
1) 内分泌撹乱法によるecdysoneの機能解析 昆虫の脱皮ホルモンとして、20-hydroxyecdysone(20E)が特徴づけられているが、前駆体のecdysone(E)については、生理作用は十分に明らかにされていない。これより、Eの生理機能を解析した。Eは前胸腺で生合成された後、末梢組織で生合成酵素Shdによって20Eへと酸化される。そのためShdを前胸腺で異所発現させると、前胸腺内でEから変換された20Eが体内へ放出されると考えられる。そこで、遺伝学的手法を用いて、ショウジョウバエの前胸腺においてShdを異所発現させた。このような幼虫は2齢への脱皮のタイミングが遅れ、全て死亡した。一方でEの摂取により正常なタイミングで脱皮した。また、野生型3齢幼虫ではEの摂取により蛹化のタイミングが早まり体サイズの減少が認められた。一方で、Eと幼若ホルモン類縁体methoprene(Met)を混合して摂取させると、正常なタイミングで蛹化して体サイズの減少は認められなくなった。このような効果は20Eを摂取させた場合には認められなかった。以上より、Eは幼虫の時期には正常なタイミングで発育するために必要であると同時に、変態時には幼若ホルモンと拮抗的に作用して蛹化のタイミングを決定していると考えられる。これより、E特異的な作用を解明すると同時に、エクジステロイドと幼若ホルモンの相互作用の解明への手がかりが得られた。 2) 内分泌撹乱法による時期特異的にecdysteroidを不活性化する系の構築 ホルモンの分泌量を操作することを目的に、遺伝学的手法を用いてecdysteroidを不活性化する系の構築を試みた。そこで、ショウジョウバエでecdysteroidを修飾する酵素を前胸腺で異所発現させた。その結果、ecdysteroidの酸化酵素を発現させると、発育が阻害されることが確認できた。一方で、前胸腺で遺伝子発現を時期特異的に制御する発現ベクターを構築した。今後、ベクターを導入したショウジョウバエ系統を作成して、時期特異的にecdysteroid不活性化する系を確立する。
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Research Products
(5 results)