2011 Fiscal Year Annual Research Report
C_1化合物を原料にした共重合バイオポリエステル生合成のための微生物分子育種
Project/Area Number |
21780066
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
折田 和泉 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助教 (70525964)
|
Keywords | メタノール / ポリヒドロキシアルカン酸 / メチロトローフ |
Research Abstract |
メタノールを単一炭素源にして高物性共重合ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)を効率的に生合成する株の取得を目的として、代表的なメチロトローフであるMethylobacterium extorquens AM1株の代謝改変を行った。メチロトローフはこれまで、炭素数4のモノマーのみからなるP(3HB)しか生産出来ないと報告されてきた。申請者はこれまでに、物性向上を目的とした共重合化のため、野生株が有するPHA重合酵素遺伝子を広基質特異性の酵素遺伝子に置換した株(AM1CAc株)を得ており、メタノールから炭素数6のモノマーが共重合したPHAの合成に成功している。 1)野生株や組換え株の凍結乾燥菌体をメタノリシスし、ガスクロマトグラフィーやガスクロマトグラフ質量分析計に供することで、野生株が合成するPHAは炭素数5のモノマーも共重合した共重合PHAであるという重要な事実を明らかにした。組換え株は、炭素数4,5,6の3つのモノマーが共重合した珍しいPHAを蓄積していた。 2)本菌はグリオキシル酸の再生のためにエチルマロニルーCoA経路(EMCP)を有する。EMCP上には、第二モノマーの前駆体となるCoA中間体が存在するため、これらのCoA中間体を第二モノマー成分に導くための遺伝子をAM1CAc株内で高発現した。その結果、モノマー組成が異なったPHAを合成する菌株の取得に成功した。 3)AM1CAc株内で、EMCP経路上の酵素遺伝子を相同組換えにより破壊した。破壊株はメタノール生育能を失うが、コハク酸を炭素源とした培地で生育させてからメタノールを加えた培地に植継ぐ二段培養を行ったところ、炭素数5のモノマーがAM1CAc株に比べて大幅に増加していた。また、この株のメタノール生育能を回復すべく他のC1化合物固定酵素遺伝子を導入したが、いずれの株もメタノール生育能は相補しなかった。
|