2009 Fiscal Year Annual Research Report
出芽酵母におけるNADP(H)合成および分解系の制御機構
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21780069
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河井 重幸 Kyoto University, 農学研究科, 助教 (00303909)
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Keywords | 出芽酵母 / NADP(H) / グルコース-6-リン酸脱水素酵素 / NADキナーゼ / 環元型補酵素 / NADP(H)ase / NADHキナーゼ / アルファ・ファクター |
Research Abstract |
(1) NADP(H)合成系酵素のリン酸化:NADPH合成酵素であるZwf1(グルコース-6-リン酸脱水素酵素:G6PDH)は、アルファ・ファクター(性フェロモン)処理によりリン酸化される。アルファ・ファクター処理後、細胞の同調性を確認し、細胞抽出物を調製してその活性を調べたところ、処理無しでは2.5U/mg、処理ありでは3.1U/mgであった。これは、同処理により、Zwf1がリン酸化された結果、その活性が若干(約24%)増大したことを示唆した。一方、NADP合成酵素Utr1のリン酸化による局在性変化を調べるために、UTR1::GFPの大量発現を多コピープラスミドpRS425を用いて試みたが、十分な可視化には至らなかった。(2) ヒトNADK(HsNADK)のNADP(H)による活性制御:均一な精製HsNADKの取得およびその機能解析を試みた。N末端側から87アミノ酸残基を削除したHsNADK(N-HsNADK)の発現条件を検討し、最適な発現系を決定し、既報の20倍の発現量を達成した。また、N末端アミノ酸シーケンス解析により、'精製N-HsNADKの均一性を確認した。さらに、本標品が生成物NADP^+ではなく、還元型補酵素NADHおよびNADPHにより活性が阻害されることを見いだした。ATPに対して、シグモイド型の挙動を示すことも明らかにした。(3) 出芽酵母のNADP(H)aseの同定:出芽酵母は、構成的に発現する酸性(Pho3)およびアルカリフォスファターゼ(Pho13)、ならびにリン酸で発現が抑制される酸性(Pho5/10/11)およびアルカリフォスファターゼ(Pho8)を有する。これらの非特異的フォスファターゼの干渉を除外するため、pho13および対照としての野生株を10mMリン酸および15μMチアミン存在下で培養し、そのNADP(H)ase活性を測定したところ、野生株、pho13ともに一晩反応させてようやく活性が検出される程度の微弱なNADPase活性しか示さなかった。pho13は確かにpNPPase(非特異的フォスファターゼ)活性を殆ど示さなかったことから、Pho13はNADPase活性に寄与していないことが示唆された。
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