2009 Fiscal Year Annual Research Report
海底下微生物の脱ハロゲン呼吸代謝に関する研究-新規な生態系と遺伝子機能の探索
Project/Area Number |
21780085
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
二神 泰基 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 寄附講座教員 (60512027)
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Keywords | 脱ハロゲン呼吸 / 還元的デハロゲナーゼ / 海底下生命圏 |
Research Abstract |
本研究では、海底下生命圏における微生物の代謝活動を支える重要な電子受容体として有機ハロゲン化合物を候補に挙げており、本仮説のもと、海底下堆積物より新規な脱ハロゲン呼吸細菌および関連遺伝資源を取得することを目的としている。 本年度は、環太平洋沿岸および東太平洋赤道域より採取された堆積物コア試料中に脱ハロゲン呼吸の機能遺伝子である還元的デハロゲナーゼの存在について解析を行った。まず、コア試料からDNAを抽出し、MDA(multiple displacement amplification)法により増幅した。海底堆積物からの環境DNAを鋳型として、還元的脱ハロゲン化酵素遺伝子ホモログ(rdh)を縮重プライマーを用いたPCRによって増幅し、シーケンス解析を行った。その結果、東太平洋赤道域(3.2,46.7mbsf)、ペルー沖(0.3mbsf)、および下北半島沖(1.03,13.52,216.77mbsf)の堆積物試料から全32種類のrdh遺伝子が検出された。海底下から検出されたrdhは既報のrdhと低い相同性を示す新規なものであった。系統解析の結果、いずれもDehalococcoides属細菌のrdhに近縁であることが明らかになった。世界各地の海底コアに多様なrdhが分布していることが明らかとなり、海底下に脱ハロゲン微生物群集が広く存在している可能性が示された。
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Research Products
(2 results)