2010 Fiscal Year Annual Research Report
超好熱アーキアのL‐プロリン脱水素酵素複合体の機能構造解析と電子伝達機構の解明
Project/Area Number |
21780099
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
川上 竜巳 佐賀大学, 総合分析実験センター, 助教 (90380120)
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Keywords | 生化学 / 構造生物学 / 超好熱アーキア / L-プロリン脱水素酵素複合体 / 鉄イオウクラスター / Thermococcus profundus / Pyrococcus horikoshii |
Research Abstract |
超好熱アーキアにはα_4β_4型及びαβγδ型の2種類のL-プロリン脱水素酵素複合体(ProDH)が特異的に存在する。本研究ではこれらの複合体酵素の機能と構造を明らかにし、その電子伝達機構を明らかにすることを目的としている。本年度はまず、Thermococcus profundusのαβγδ型ProDHの結晶化を目指した。これまでの研究から、α、γ、δサブユニットに存在する鉄イオウクラスター(ISC)の空気酸化により立体構造が不安定になり結晶化されない可能性があったため、各サブユニット中のISCに関連する16個のCys残基をSerに変異させたISC変異酵素を作製した。このうち、γサブユニットにISC変異を入れた発現系では、いずれも複合体構造が形成されておらず、ISC変異によりγサブユニットが正しく立体構造形成できていないことが示唆された。一方、α,δ,αδの各ICS変異酵素では複合体を保持しており、これらのISCが立体構造形成とは関係しないことが分かった。特にαδのISC変異酵素で純度の高い標品が得られたため、結晶化スクリーニングを行った結果、いくつかの条件でCrystalDyeにより染色される結晶を見出した。 次に、両タイプのProDH複合体のProDH活性を触媒するβサブユニット(PDH)の性質を比較するため、4種類のPyrococcus、Thermococcus属の計8種類のPDHの性質を比較した結果、複合体構造と属の違いにより安定性や電子受容体特性、触媒効率に違いがあることがわかった。複合体酵素と比べると、安定性は若干劣るものの、その反応速度は2~5倍高くなった。これらの結果から、複合体酵素よりも単独発現酵素の方が応用利用する上で有用であることが明らかになった。
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Research Products
(4 results)