2010 Fiscal Year Annual Research Report
発光タンパク質シンプレクチンの活性酸素錯体による発光誘発機構に関する研究
Project/Area Number |
21780111
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
久世 雅樹 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 助教 (40335013)
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Keywords | 生物発光 / 発光速度 / 発光タンパク質 / 活性酸素種 / クロモフォア |
Research Abstract |
[内容]デヒドロセレンテラジン(DCL)と活性酸素種で発光する生物発光系について (1)活性酸素錯体による発光タンパク質(フォラシン)の発光誘発機構の解明と (2)発光タンパク質以外の活性酸素種による発光系の探索の2点について研究を実施した。 [成果] 1数年間に一度大量発生するキシャヤスデの体表には蛍光があることを見つけた。抽出精製した結果、プテリンカルボン酸であった。キシャヤスデ抽出物は過酸化水素により発光することも明らかなった。フォラシンとは異なる活性酸素種の検出システムとしての利用が期待できる。 2フォラシンにはDCLが共有結合してクロモフォアを形成していると推定している。そこで、遊離システイン残基の特定を試みた。選択的なシステイン残基のアルキル化法によって、1カ所のシステイン残基だけが遊離しており、クロモフォア形成部位であることが明らかとなった。 3フォラシンの発光を誘発する活性酸素種の特定について詳細に検討した。その結果、鉄イオンを含む活性酸素錯体による発光速度は速く、次亜塩素酸の過酸化物による発光速度は遅いことが明らかになった。 [意義]本研究成果によりフォラシンの活性酸素種に対する特異性を利用した応用研究が可能となった。また、活性部位の特定により、フォラシンのサイズを小さくしたアナログ発光タンパク質の創製も期待できることになった。
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