2010 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺がん進行機序の解明と食品成分による抑制作用の解析
Project/Area Number |
21780132
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
原田 直樹 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助教 (00529141)
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Keywords | 前立腺がん / アンドロゲン受容体 / レスベラトロール / ホルモン療法 / 転写 / 核内受容体 |
Research Abstract |
ヒト前立腺がん細胞株であるLNCaP細胞において,C末端のリガンド結合ドメイン(LBD)を欠いたアンドロゲン受容体(ARΔLBD)が,SDS-PAGEにおいて~90kDaに検出された.ARΔLBDは,プロテアソーム阻害剤(MG132とPS341)依存的に蓄積したことから,通常,プロテアソーム系により速やかに分解されることが示唆された.阻害剤を用いた検討から,ARΔLBDはセリンプロテアーゼによるプロセッシングを受けて産生され,産生にはタンパク質の新規合成を必要とすることが判明した.野生型ARからARΔLBDが産生される切断部位を検討したところ,LBDに存在するHelix1近傍が切断部位となっていることが推測された.また,ARΔLBDの産生はリガンド依存的であり,リガンド非存在下やアンタゴニスト存在下でのみ産生され,アゴニストであるテストステロンやジヒドロテストステロン存在下では産生されなかったことから,LBDのHelix1はリガンドの結合により構造変化を起こすことが予想された.プロテアソームによる分解のターゲットとなる^<23>FQNLF^<27>モチーフに変異を導入した配列変異体AR(L26A/F27A)を用いて,ARΔLBDは核に局在することを明らかにし,さらに,ARΔLBDはリガンドに依存しない転写活性を持つことを間接的に証明した.これらの結果から,ホルモン療法に類似した環境で産生されるARΔLBDが治療耐性の前立腺がんの再発に関与する機構が考えられた.さらに,このARΔLBDに対してアンタゴニストは結合できないため作用しないが,食品成分であるのレスベラトロールはARΔLBDの転写活性を抑制したため,レスベラトロールは前立腺がん再発に有効であると考えられた.
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Research Products
(6 results)